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中国発フェンタニル密輸ネットワークが日本に司令拠点か ベリングキャット・日経が共同調査

2025/08/09
更新: 2025/08/09

アメリカなどで深刻な社会問題となっている合成麻薬「フェンタニル」を巡り、欧州の調査機関ベリングキャットは8月7日、アメリカへの不正輸出を行う中国系組織が日本に拠点を築いていたとする詳細な分析結果を公表した。

同機関と日本経済新聞の共同調査によれば、組織は名古屋市に「FIRSKY株式会社」として法人登記し、日本を危険薬物の集配送や資金管理を指示する活動基地にしていた形跡が明らかになった。

FIRSKYは中国・武漢に本拠を置く化学企業「Hubei Amarvel Biotech(AmarvelBio)」と密接に関連しており、米国で摘発・起訴された経営陣や販売サイトなど、両社が事実上「同一ネットワーク」にあることを示す証拠が複数発見された。

ベリングキャットの調査によると、両社は同じ経営者や販売スタッフ、ドメイン登録者、広告用のメールアドレスなど多くの要素が共通しているほか、届け出や認証書も使いまわしていた。闇マーケット「Breaking Bad」や専門取引サイトにも同一人物や連絡先が繰り返し登場し、ブランド名の使い分けなどで摘発逃れを図っていたとされる。

なぜ日本を拠点として選んだのか。日経新聞の報道や専門家の指摘によると、法人設立や長期滞在資格の取得が比較的容易で、規制当局の監視が限定的な実態が背景にあるという。麻薬取締法などで一応の管理措置を敷いているが、専門家は「犯罪組織による制度の“悪用余地”が大きい」と警鐘を鳴らしている。

日本政府は、昨今の一連の報道やアメリカからの要請を受けつつも、「国内でフェンタニル乱用の実態は確認されていない」などとして、従来通りの規制の厳格運用と国際協調を強調するのみで、対応強化には慎重な姿勢を崩していない。

厚生労働省が卸業者への指導強化や不審取引の届け出徹底を都道府県に通知し、現地調査を始めたものの、構造的な監視の抜本強化や法人設立規制の見直しなどについて具体的な動きは見られない。

こうした対応に対し、参政党の神谷宗幣参院議員は単なる密輸問題ではなく、敵対的な意図を持って日米同盟関係に不信と対立をもたらそうとするサボタージュ工作(意図的な破壊行為)である可能性を強く示唆している。

神谷参院議員は米国議会やDEA(麻薬取締局)が、フェンタニル供給を「非軍事型戦争=超限戦」として捉え、中国共産党による国家戦略の一部とみなしているという事例を上げ、政府の対応に警鐘を鳴らしている。

「現状、政府はインテリジェンス機関(内閣情報調査室、公安調査庁、警察庁外事部門など)に対して薬物サボタージュ監視任務を明示せず、省庁間の連携組織も未整備である。過去の答弁は現実と乖離しており、政府の見解が修正されない限り、今回の事案と同様の危機が一層深刻化する蓋然性が高い」

アメリカや国際社会からも「日本が密輸ネットワークの新たな中核拠点になりつつある」と懸念する声が高まっている。

ジョージ・グラス駐日米国大使は、SNSのX上で「フェンタニルやメタンフェタミンといった合成薬物は、日米両国において多くの命を奪っている。そして、中国共産党はこの危機を意図的にあおっている」と警告し、「われわれはパートナーである日本と協力することで、こうした化学物質の日本経由での積み替えや流通を防ぎ、両国の地域社会と家族を守ることがでる」とも述べ、迅速な対応を日本政府に促し、中国からの厳格な監視と日本のより積極的な対応を求めている。

日本国内でのフェンタニルの違法流通や乱用実態は依然として限定的とされているが、世界的な薬物危機が身近な社会に波及してくる可能性が拡大している。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます