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米欧ウクライナ首脳がホワイトハウスで一同に会す 押さえておきたい6つのポイント

2025/08/20
更新: 2025/08/20

ロシア・ウクライナ戦争の終結に向け、トランプ米大統領主導の首脳会談がホワイトハウスで開催された。欧州各国やウクライナの指導者が一堂に会し、安全保障や停戦、領土問題などについて集中的に議論。国際情勢に大きな影響を与える、歴史的サミットの主要なポイントを解説する。

ロシアのプーチン大統領との会談から数日後、トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に加え、欧州各国の指導者たちをホワイトハウスに招き、国際安全保障の課題について議論を交わした。

8月18日の会談は、ロシア・ウクライナ戦争の解決に向けたアメリカの最近の外交努力の重要性を際立たせた。この動きは、トランプ大統領やプーチン大統領、ゼレンスキー大統領による三者の首脳会談の可能性を切り開く新たな局面となった。

欧州の指導者やゼレンスキー大統領は楽観的な姿勢を示していた。特に、トランプ大統領はウクライナの安全の保証に関与すると表明したことで、欧州の指導者らは安堵したとみられる。

会談後、トランプ大統領はSNSで、プーチン大統領に電話をかけ、ゼレンスキー大統領との二者会談を調整したと投稿。その後、プーチン大統領やゼレンスキー大統領、トランプ大統領を含む三者会談が行われる予定となっている。

数か月前、停戦の試みはロシアを交渉の場に引き込むことができず、トランプ大統領は、数十万から場合によっては100万人以上の死者を出す戦争を終結させる難しさを認めた。

トランプ大統領は、欧州指導者との多国間会議を前にした記者会見で、「これは比較的容易な問題だと思っていたが、実際には最も難しいものの一つだ。我々は全力を尽くさなければならない」と述べた。

ホワイトハウスでの首脳会議の押さえておきたい6つの見どころをみていこう。

①ホワイトハウスに欧州指導者が集結

ホワイトハウスでの会合は、トランプ大統領の本拠に欧州主要指導者が大規模に集結する稀な機会となった。

欧州諸国は紛争下でもウクライナ支援を調整し、ヨーロッパ全体の集団的安全保障の強化を模索してきた。

英首相スターマー氏、仏大統領マクロン氏、独首相メルツ氏、伊首相メローニ氏、フィンランド大統領ストゥブ氏、NATO事務総長ルッテ氏、EU委員長フォン・デア・ライエン氏がゼレンスキー大統領とトランプ大統領に合流し、ロシア・ウクライナ戦争終結への強い関心を示した。

トランプ大統領は18日朝、トゥルース・ソーシャルに「ホワイトハウスにとって大きな一日です。これほど多くの欧州指導者を同時に迎えたことはありません。アメリカにとって大きな名誉です。結果を見守りましょう」と投稿した。

ストゥブ大統領は「今日、我々が同じテーブルを囲んでいるという事実こそ、ヨーロッパとアメリカが協力してウクライナを支援している象徴である」と語り、会談の協調的雰囲気を称賛した。

②トランプ氏、ウクライナの「安全の保証に関与」と明言

北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、トランプ大統領が今年初めから開始した外交対話を通じて、プーチン大統領との行き詰まりを打破したと評価した。

当日、ゼレンスキー大統領との会談で、トランプ大統領はアメリカがヨーロッパを支援し、ウクライナの安全の保証に関与することを明言した。

トランプ大統領は、記者会見で「彼らは保護を求め、それを強く望んでいる。我々はその点で彼らを助けるつもりだ。合意をまとめることが極めて重要だと思う」と述べた。

トゥルース・ソーシャルへの投稿で、トランプ大統領は、ヨーロッパが支援を提供し、アメリカが調整役を担うと説明した。

ルッテ事務総長は、これについて「(ウクライナの)安全の保証に参加する意思があるとあなたが言ったことは大きな一歩だ」と評し、これを「突破口」と表現した。ゼレンスキー大統領も、アメリカによる安全保障保証の可能性を「非常に重要」と位置付けた。

トランプ氏が明言した「(ウクライナの)安全の保証」の具体的な内容はまだ明らかではないが、トランプ政権は幾つかの手がかりを示し、ヨーロッパ諸国はこれを好意的に受け止めた。

8月17日、米国のスティーブ・ウィトコフ中東特使はCNNのジェイク・タッパーに対し、「(ウクライナの)安全の保証」はNATO条約第5条に基づく加盟国への保証に類似するだろうと語った。

18日の会談では、EUのフォンデアライエン委員長も「第5条に類似した安全の保証」に関する進展を強調した。

第5条は、加盟国のいずれかが攻撃を受けた場合、それを全加盟国への攻撃とみなし、集団的な対応を義務付けている。

ただし、そのような保証は、ウクライナをNATOの外に留めるという条件とともに実現する可能性がある。ウクライナのEU加盟の志向は、ロシアの侵攻以前からヨーロッパに懸念を引き起こしていた。

8月17日、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルで、ゼレンスキー大統領がクリミアを譲渡し、NATO加盟を断念すれば戦争を終結させられる可能性があると示唆した。

③以前の会談よりも圧倒的に友好的な雰囲気

8月18日にオーバルオフィスで行ったトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談は、2月の緊張した会談とは対照的に友好的なムードが漂っていた。2月の会談では、ゼレンスキー大統領とJD・ヴァンス米副大統領が激しい口論を展開し、会談は打ち切られ、アメリカは一時的にウクライナへの支援を停止した。

今回は、トランプ大統領がホワイトハウスのポーティコでゼレンスキー大統領を笑顔と握手で迎えた。ヴァンス副大統領は沈黙を保ち、ゼレンスキー大統領は黒い軍服風スーツを着用し、トランプ大統領はその服装を称賛した。

ゼレンスキー大統領はまた、メラニア夫人がプーチン大統領宛てに「罪のない子供たちのことを考え、戦争を終えてほしい」と求める手紙を送ったことに謝意を表した。

8月18日、トランプ米大統領はホワイトハウスのオーバルオフィスでウクライナのゼレンスキー大統領と二国間会談を行った。(Anna Moneymaker/Getty Images/AFP)

2月の会談で、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に「今は君に有利なカードはない」と告げていたが、8月18日には、ロシアとウクライナのどちらが優勢かを記者に問われても明言を避けた。

また、トランプ大統領、ゼレンスキー大統領、欧州主要指導者による公開討論は、相互尊重の雰囲気に満ちていた。

イタリアのメローニ首相は、プーチン大統領を交渉の場に導いたトランプ大統領の功績を評価した。フィンランドのストゥブ大統領も「過去2週間で、これまでの3年半よりも戦争終結に向けて進展した」と述べた。その直後、トランプ大統領がストゥブ大統領のゴルフの腕前を褒める場面も見られた。

④トランプ氏「停戦は和平協定の前提条件ではない」

トランプ大統領は8月15日、プーチン大統領との会談で停戦合意を目指すと述べた。

「今日実現するかは分からないが、実現しなければ私は満足しない」と、大統領専用機「エアフォースワン」でアラスカでのサミットに向かう中で述べた。

しかしその後、トランプ大統領は停戦に対する期待をやや和らげた。ゼレンスキー大統領との記者会見では、「停戦が必須ではないかもしれない」と示唆した。

「停戦を好む理由は一つだけです。人々の殺戮をすぐに止められるからです。1週間や2週間も待つ必要はありません。しかし戦闘が続く中でも和平協定の作業は可能です」と述べた。

欧州の指導者との会談でも同様に発言し、「我々は恒久的な和平に取り組む間、即時停戦を望んでいる。しかし現時点では起きていない」と述べた。

ドイツのメルツ首相は、進展のためには少なくとも暫定的停戦が必要だと指摘し、「今日進める努力の信頼性は、次の重要な交渉段階の開始時点での停戦にかかっている」と強調した。

⑤領土問題

領土譲渡は和平協定の一部となる可能性が高く、8月18日の会談でも議題に上った。

ウクライナは、2014年にロシアが併合したクリミアの譲渡を迫られている。さらに、ロシア語話者が多く、現在ロシアの支配が強い東部ドンバス地域でも領土喪失の可能性に直面している。

トランプ大統領はゼレンスキー大統領や欧州指導者との会談でこの問題を取り上げ、「現在の戦線を考慮に入れつつ、領土譲渡を議論する必要がある」と述べた。

ゼレンスキー大統領も、領土境界は今後の三者会談(トランプ大統領、プーチン大統領との会談)で話し合うべき「センシティブな事項」の一つだとした。

⑥米ウ露会談の実現の可能性

多くの指導者が、ウクライナ、ロシア、アメリカによる最終的な三者会談の実現に期待を示している。

トランプ大統領はゼレンスキー大統領との最初の会談前に、「今日うまくいけば三者会談を行うことになり、その場で戦争終結の可能性が現実味を帯びる」と語った。

8月18日夜、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルで改めて三者会談への関心を表明し、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の二者会談の後に三者会談が続くと記した。

英国のスターマー首相は「三者会談は当然の次のステップに思える」と述べ、トランプ大統領の外交努力に謝意を表した。

フランスのマクロン大統領とドイツのメルツ首相と同様に、三者会談の前に戦闘の一時停止が必要だと述べた。さらにマクロン大統領は、「三者会談の後も議論を続け、やがて欧州諸国を加えるべきだ」と述べ、「安全の保証とはヨーロッパ大陸全体の安全を意味する」と強調した。

エポック・タイムズ記者。国政を担当し、エネルギーと環境にも焦点を当てている。核融合エネルギーや ESG から、バイデンの機密文書や国際的な保守政治まで、あらゆることについて書いている。米国シカゴ拠点に活動。
軍事と外交問題を専門とするエポックタイムズの記者