安徽省阜陽市太和県で8月24日、気温36℃の中「雪が降った」とする映像が拡散した。白い雪の粒がふわりふわりと街を漂い、舞い降りる光景に、撮影者は「まさか真夏に雪だなんて…」と絶句する。
ところが気象台は「あれは雪ではなく、大粒の雨が風に流されただけ。雪だというのは錯覚だ」と主張。これに市民は「雨と雪の区別もつかないのか」「白を黒と言い張るとはこのことだ」「見え見えのウソをよくも堂々と言えるものだ」と憤り、「六月飛霜(夏に降る雪)と言われるのがそんなに怖いのか」と冷笑した。
実際に市民が撮影した映像はどう見ても雪そのもの。雪かどうかは、ぜひ下の動画をご覧いただきたい。
(「錯覚」とされた雪。2025年8月24日、安徽省阜陽市太和県)
さらに8月28日には、甘粛省甘南(かんなん)自治州でも、大地を覆い尽くすほどの大雪が降った。

(大雪に覆われた甘粛省甘南自治州、2025年8月28日)
安徽・太和県での真夏の雪や、過去に各地で繰り返し目撃されてきた異常な「夏雪」の現象と重ね合わせ、SNSでは「遍地奇冤(へんちきえん=社会に理不尽な冤罪や怨みが満ちている)」との嘆きが相次ぎ、異常気象と社会不安を結びつける声も広がっている。

中国では古来、夏の雪は「冤罪」や「怨念」の象徴とされ、「六月飛霜」と呼ばれてきた。亡霊の無念や社会の不正への憤りが天を動かすと信じられてきたからである。もし民衆がそれを「神の怒り」と結びつければ、政権の正統性すら揺らぎかねない。ゆえに「国は安泰だ」と装いたい当局にとって、この現象はきわめて都合が悪い。
そのため近年、各地で「六月飛霜」が起きるたびに、当局は決まって「錯覚」や「あられ」と言い張り、必死に打ち消してきた。
しかし、誰もが映像を手にできる時代にすら「言葉のすり替え」でごまかそうとする当局の姿には、その厚顔無恥ぶりに呆れるほかない。結局、あれは市民の目に映った「雪」なのか、それとも当局が押しつける「錯覚」なのか、真相よりも先に積もるのは、市民の不信と冷笑である。

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