中国の一級・二級都市で住宅価格が急落し、中産階級の貧困化が一層進んでいる。多くの高所得層が高値で住宅を購入したものの、その後リストラや事業の失敗に直面し、住宅ローンを返済できず、売却も困難な状況に陥り、現在では食費にすら困る事態となっている。
北京在住で失業中のプログラマー王さんは、40歳を超えてからリストラに遭い、再就職ができず、毎月1万5千元(約31万5千円)の住宅ローンを支払えないと明かした。住宅は高値で購入したといい、残債は300万元(約6300万円)以上あると語る。「もし家を買っていなければ、インターネット大手で長年働いて高給取りだったので、少なくとも数百万元の貯金があり、生活に困ることはなかったはずだ」と話した。
王さんは次のようにも語る。
「中年になって貧困に逆戻りだ。家は200万元(約4200万円)以上値下がりし、頭金もすべて失った。2019年に購入して自分で住むつもりだったのに、結果的に損をした側になってしまった。住宅ローンはまだ10年以上残っている。大手企業は次々とリストラを進めている。私は失業して1か月でお金が尽きた。自分でなんとかするしかない。当時家を買っていなければ、今ごろは快適な生活を送れていたはずだ。田舎の実家に戻るのも一つの手だが、今はもう戻れないのだ」
上海市民の張さん夫婦は、大学卒業後、上海で十年以上働き、上海戸籍を取得したのちに2軒の住宅を購入した。総額400万元(約8400万円)以上借り入れており、毎月約2万元(約42万円)の住宅ローンを抱えている。しかし、外資系企業の相次ぐ撤退に伴い、夫婦揃ってリストラに遭い、再就職もかなわず、ローンを返済できずに家も売れないため、大きな不安を感じている。
張さんは次のように語った。
「会社でリストラに遭い、2軒とも住宅ローンを抱えている。最初に買った家はわずか60平方メートルほどの狭いものだった。第二子が生まれて狭くなり、買い替えを考えていたのだが、結局できず、その間に値下がりしてしまった。今はどんな仕事でも、紹介してもらえれば行く。給料がいくらであっても働く。私たち『新上海人』(地方から上海に移住して戸籍を得た人々)は働いてローンを返さなければならない。ローンがなければもっと余裕のある生活ができるのにと思う」
蘇州で商売をしている徐さんは、2023年に369万元(約7749万円)で130平方メートルのマンションを購入した。当時の年収は、ほぼ100万元(約2100万円)あった。しかし今年は事業が思うようにいかず、現金化しようと住宅を売りに出した。100万元(約2100万円)値下げして売り出してもまったく売れず、家を買うことは、商売をするよりも損失が早くて大きいと気づいた。不動産仲介業者によれば「売却希望者が多すぎる」という。
徐さんはまた、次のように話す。
「家を買ってまだ2年ほどだが、住宅ローンが240万元(約5040万円)ある。当時は収入に余裕があった。私は余剰な衣料の販売業をしているが、今は負債を抱え、手元資金はすべて商品に消えてしまった。精神的な圧力は大きい。ローンは私一人で返している。独身なので余裕も時間もなく、結婚相手を探す暇もない」
また、上海奉賢区に住む陳さんは、多くの地方出身者が上海で10年、20年と懸命に働き、家を買って家庭を築くために全財産を投入し、毎月の収入のほとんどを住宅ローン返済に充てていると語る。
しかし現在では、上海の大手企業でリストラや減給が相次ぎ、郊外の住宅価格は10年前の水準にまで下落した。その結果、住宅を売却しても銀行への借金が数十万元残るケースが多発し、住宅を購入せずローンを抱えない人がむしろ羨ましがられる状況となっている。
陳さんはまた次のように語った。
「2016年以降に購入した人は、ほとんど当時より価格が大幅に下落している。400万元(約8400万円)で買って2年も経たないのに、今は300万元(約6300万円)でも売れないという例が多い。私の自宅も300万元台で購入したが、今では200万元台(約4200万円台)でも売れない。すでに百万元(約2100万円)以上の損失を抱えている。やっと入居したばかりなのに、今は食費にも困り、ローンも支払えない。どうしたらよいのだろうか」
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