AP通信の調査によれば、米国のマイクロソフトやインテルなど複数のテクノロジー企業が、20年以上にわたり中国国内の大規模なネット監視システムに関与してきたことが明らかになった。
これらの監視システムは、中国共産党政権による市民弾圧や迫害に活用されており、国際社会において深刻な懸念を引き起こしている。企業による中共への技術提供の責任を問う声も、いま一層高まっている。
中国が国内に構築した世界最大規模のデジタル監視網は、「パノプティコン(全展望監視システム)」にも例えられる。その網は、顔認証、DNAデータベース、ビッグデータ解析などを駆使し、市民の行動をリアルタイムで把握し、日常生活の隅々にまで浸透している。
中国本土のソフトウェアエンジニア、張栄鑫さんは次のように指摘する。「携帯キャリアの基地局信号や監視カメラによる顔認識、車両ナンバーや身分証の利用履歴が組み合わされると、個人の行動はほぼ完全に把握されてしまう」。
さらに張さんは、「加えて、アプリの取引データやウェブの閲覧履歴、微信やアリペイの支払情報、入力ソフトの使用履歴に至るまで、当局が随時アクセス可能な状況にあり、個人のプライバシーは徹底的に侵害される」と述べた。
AP通信の調査によれば、中国における大規模監視体制に対し、米国のテクノロジー企業が重要な技術を提供していたことが確認された。
中国の監視システムの基盤は「グレート・ファイアウォール」プロジェクトにあり、同プロジェクトは中国の防衛産業企業・華迪が米IBMと協力して設計したものである。このシステムは、中共によるネットワーク監視を支え、弾圧対象となる市民の取り締まりに活用されてきた。
さらに、デル、サーモフィッシャーサイエンティフィック、エヌビディア、インテル、HP、シスコ、オラクル、マイクロソフトといった複数の米大手企業の製品や技術も、警察や監視インフラに組み込まれた。しかし、これらの企業はいずれも中共当局への直接的な関与を否定している。
中共は過去20年以上にわたり、この監視網を用いて法輪功学習者やウイグル人、民主活動家らを標的に、徹底的な弾圧を続けてきた。
IT業界の起業家である邵琦亮氏は、「習近平政権下では、このような監視や国民統制の手法、すなわち『治国理政(国政運営)』の方針が国外にも輸出され、専制体制の強化そのものが目的化している」と指摘する。
市民全体に対する監視の度合いは、かつてないほど強化されている。AP通信が9日に発表した調査によれば、江蘇省で陳情を行った楊国良さんの自宅周辺には10台以上の監視カメラが設置され、日常生活や通信、さらには飲食や睡眠に至るまで監視されていることが明らかになった。
楊さんは1.5エーカーの自宅の敷地を守るため、北京へ陳情に赴いただけであるにもかかわらず、厳重な監視下に置かれ、警察から度重なる暴行を受けたという。
専門家の間では、こうした楊さん一家の状況は、中共による巨大監視網における氷山の一角にすぎないとの見方が広がっている。ソフトウェアエンジニアの張栄鑫さんは、自らの体験を次のように語る。「全国『両会(全人代と政協)』の直前、チャットグループで陳情の予定にわずかに触れただけで、公安が即座に自宅へ押しかけ、拘束する事例を目の当たりにした」。
邵さんは「人々は、言論や情報を自由に発信・取得できる空間を、ますます狭められている」と述べる。
中共によるこうした人権侵害は、国際社会の強い関心と制裁を呼び起こしている。米国からの技術供給は減少傾向にあるものの、既に導入された技術は監視体制の中核を形成しており、中国企業が開発や運用を引き継ぐ中、一部の分野では米国企業を凌ぐ技術力に成長している。依然として各界では、中国へ輸出された技術が最終的にどこで、どのように利用されているかについて、強い懸念が払拭されていない。
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