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日本議員訪台ラッシュ 頼総統 経済安保で連携強化訴え

2025/12/24
更新: 2025/12/24

中華民国の頼清徳総統は、訪台した鈴木馨祐前法相(自民)およびTY会会長の瀧波宏文 参院議員(自民)ら一行と面会した。瀧波氏率いる訪問団との会談において、頼氏は、台湾と日本はいずれも中国共産党(中共)に関連するサプライチェーンのリスクや経済安全保障などの課題に直面していると指摘した。その上、今後も交流と協力を一層深化させ、台湾・日本双方の繁栄と発展を牽引していきたいとの期待を表明した。

頼氏は12月23日、鈴木議員らを接見し、重要な時期に台湾を訪問し、具体的な行動で台湾への重視と支持を示してくれたことに対し、国民を代表して心からの歓迎と感謝を表した。これまで鈴木議員や長島昭久議員(自民)とは何度も意見交換を行ってきたと述べ、再会を喜ぶとともに、初訪台となる神田潤一議員(自民)を含め、今後さらなる協力関係の発展を期待すると語った。

12月23日、頼清徳総統は、訪台した鈴木馨祐前法相らと面会し、記念撮影に臨んだ(台湾総統府提供)

また、鈴木議員が法務大臣在任中に法務省の法令改正を推進し、今年5月26日から在日台湾人が戸籍の「国籍・地域」欄に「台湾」と記載できるようになったことに感謝を示し、これは台湾人の権益を保障するとともに、日台友好関係を示す象徴的な成果であると評価した。

頼氏は「長年にわたり台湾と日本は、自然災害や感染症などの困難を共に乗り越えてきた。苦難の中で真の友情が育まれる」と述べ、今月初めに青森県で発生した強い地震についてもお見舞いを意を表し、必要な支援を準備するよう指示したことを明らかにした。

さらに、台湾と日本はいずれも環太平洋地震帯に位置し、第一列島線の要衝として権威主義の拡張や国際経済情勢の変化といった課題に直面していると指摘。日台が手を携えて協力すれば、地域の平和を守るだけでなく、共に繁栄を創出できると述べた。

AIの波が世界を席巻する中、台湾のAI・半導体・ICT分野の強みと、日本の技術・制度上の優位性を結び付け、より安全で強靱な産業体制を構築し、地域経済およびグローバル・サプライチェーンの安全に貢献したいと語った。

これに対し鈴木議員は頼氏に面会の機会を感謝し、先日台北で発生した無差別襲撃事件で亡くなった犠牲者に哀悼の意を表し、負傷者の一日にも早い回復を祈念した。

台湾が最近、日本産食品に対する管理措置を通常に戻したこと、また日本が中共から多くの圧力を受けている中で、台湾の人々が行動で日本を支えてくれていることに感謝を表し「台湾は日本にとって真の友人である」と強調した。

鈴木議員は、高市内閣発足から2か月が経過し、日台関係の重要性が繰り返し強調されていると述べ、台湾と日本は普遍的価値を共有する「運命共同体」であり、台湾は日本にとって極めて重要かつ貴重なパートナーであると語った。

地政学的変化の中で、台湾と日本はいずれも中共から多方面の圧力を受けており、「台湾有事は日本有事」であり、地域の平和と安定を守る必要があると指摘。武力による現状変更は決して容認できず、抑止力を強化してその効果を確実にするため、日本は全力で支援・防衛に努めると述べた。

続いて頼総統は瀧波宏文参議院議員一行を接見し「TY会」は「台湾友好会」を意味する名称であり、長年にわたる台湾支援に感謝を表明。瀧波会長は「台湾の婿」として国会で台湾のために尽力し、「戸籍に台湾と記載する」制度の実現を強力に後押ししたことに深い謝意を示した。

頼総統は瀧波宏文参議院議員一行と握手(台湾総統府提供)

また、今年花蓮市で馬太鞍渓の堰塞湖の水が溢れ出した災害に際し、日本政府が迅速に見舞いを表し、日本の国土交通省が無償で水位観測ブイを提供してくれたこと、日華議員懇談会が寄付の目録を手渡したことに感謝した。

さらに、高市首相が10月にトランプ米大統領訪日時に台湾海峡の平和の重要性を改めて表明したこと、APEC慶州年会において林信義代表と会談を行ったことに感謝した。

さらに、台湾と日本はいずれも、世界的な経済・貿易情勢の変化、中共のサプライチェーンのリスク、経済安全保障といった課題に直面しており、今後も交流と協力を継続して深化させ、両国の繁栄と発展をけん引していくことを期待していると述べた。

瀧波議員は、昨年頼総統と面会した当時、戸籍の国籍欄に「台湾」と記載できる制度がまだ整っていなかったと述べた。その後、日華議員懇談会で「戸籍問題」プロジェクトチームの責任者として対応に当たり、最終的に戸籍法改正につながったと説明した。

瀧波氏は、日本と台湾は連携を強め、厳しい安全保障情勢に直面する中で共に対応していく必要があると強調した。また、高市氏が国会で答弁した「台湾有事」論について、日本の存立危機事態になり得るものであり、安倍元首相の路線を踏襲するものだとして、その表現は正しく、撤回すべきではないとの認識を示した。自身が農産省副大臣や経済産業大臣政務官などを歴任した経験から、台湾周辺を巡るエネルギー、食料、経済安全保障の問題は、日本の安全そのものに直結すると語った。

さらに、地域の安全保障や価値観を軸に、日台双方が引き続き連携を深めていく必要があると指摘し、今回TY会として訪台した複数の議員も同様の考えのもと、日台協力を一層強めていくと述べた。

鍾元