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中国新空母「福建」が造船所に戻るか 電磁カタパルトと中共海軍の不都合な現実

2025/12/25
更新: 2025/12/25

中国最新空母「福建」が、就役からわずか1か月で台湾海峡を北上し、造船所へ戻った可能性が指摘されている。台湾側が公開した映像には艦載機の姿がなく、電磁カタパルトや電力供給など中核技術の不具合も取り沙汰される。山東艦に続く「政治ショー就役」が、中共海軍の技術的脆弱性と情報統制の実態を浮き彫りにしている。

12月19日、中国共産党(中共)中央テレビ(CCTV)は台湾の報道を引用し、航空母艦「福建」が台湾海峡を通過したと伝えた。しかし、就役からわずか1か月で福建が造船所に戻る可能性については言及を避けた。CCTVは同時に3隻の空母を誇示する映像を相次いで放送したが、中国の「専門家」によってその実態が露呈する結果となり、さらに艦載機J-15が日本のF-15戦闘機にレーダー照射を行ったという重大な事実も明らかになった。年の瀬を前に、中共海軍は思わぬ不名誉に直面した。

新空母福建、就役1か月で造船所戻りか

12月17日、福建は台湾海峡を北上した。台湾軍が公開した写真では、甲板上に艦載機が1機も確認されなかった。この点から、航行が訓練任務ではないことが読み取れる。台湾当局は「福建は上海・長興島の造船所に戻り、不具合の修正を行うもの」と推測している。

12月19日、CCTVの「正午国防軍事」番組は「台湾メディア:福建、就役後初の台湾海峡通過」と報道した。中国共産党系メディアが福建の動向を報じる際に、情報源が自国海軍ではなく台湾のメディアだったことは極めて異例であり、中共海軍が関連情報の公開を避けた可能性が高い。このことからも、台湾側が指摘する「福建が造船所へ戻った」という見方は一定の根拠を持つ。中共海軍としては、この事実を正式に認めたくないのだろう。
約1か月前の11月5日、中共の福建は海南省三亜で就役した。新華社の報道は2日遅れで発表し、就役式の規模も明らかに縮小していた。報道では、習近平が自らの決定で福建に電磁カタパルト技術を採用したことを強調したが、艦全体の性能評価には一切触れず、「電磁カタパルト技術は世界の先進水準にある」と述べるにとどまり、「世界をリードしている」とまでは言及しなかった。

もし福建が就役からわずか1か月余りで造船所に戻るとすれば、それは重大な欠陥を抱えている可能性がある。三亜基地では改修が完了できず、本来の造船所まで回航するのは、最後の手段とみられる。

福建の再入渠は、中共海軍にとって予想の範囲内だったとみられる。そのため就役式は規模を縮小し、報道も遅れ、海軍幹部の多くが出席を避けたのだろう。福建の引き渡しは、実用化を見据えたものではなく、政治的パフォーマンスの一環として行われた「政治ショー」であった可能性が高い。

山東艦にも見られた「政治ショー就役」の前例

同様の政治ショーは、空母山東艦でもすでに演じている。2019年12月17日、山東艦は三亜で就役したが、わずか9日後の12月26日には台湾海峡を北上し、大連造船所へ戻った。その後の改修は約1年に及び、2020年12月17日にようやく再び三亜基地へ南下している。つまり、山東艦も就役9日後に戻され、造船所で1年にわたって改造を受けたのである。

今回、福建も再入渠するのであれば、改修期間がどれほどかかるかは不明である。飛行機発着経路の干渉問題など、根本的な設計の見直しが必要となる可能性もある。中共軍内部が混乱しているこの時期、福建の就役は「政治ショー」としても失敗し、海軍の新たな恥となった。

2025年11月5日、中共の航空母艦「福建」が海南省三亜で引き渡された。艦載機の一機がカタパルトエリアに配置され、降着区域の一部を占めている。(動画のスクリーンショット)

電磁カタパルトはどこまで実用化できたのか

福建の引き渡し前、南シナ海で海上試験を実施した。中国メディアはこの試験でJ-15T、J-35、空警-600の3機種が初めてカタパルト発進試験を行ったと伝えた。これが、引き渡し前に行われた唯一のカタパルト発進試験とみられる。

12月18日、CCTVは「なぜ中国の空母は蒸気カタパルトを経ずに電磁カタパルトを直接採用したのか」と題する映像を放送した。その中で、海軍工程大学の技術者が「複数の艦載機を一度の試験で、故障ゼロで発進させた」と語った。しかし、この技術者は、福建の電磁カタパルトが何回連続で故障なしに発進できたのかについては明らかにしなかった。

福建の就役後にも、南シナ海で再びJ-15T、J-35、空警-600の発進を行ったとされる。おそらくこの際も「一度の試験で故障ゼロ」を強調したとみられる。しかし、「一度の試験で」という単発テストだけでは、連続発進能力や耐久性の有無は不明であり、そもそも耐久試験そのものを実施していない可能性もある。

11月8日、中共海軍の報道官は「福建は就役後も引き続き試験を行い、満載状態(全艦載機搭載)になる」と述べた。この発言は、福建に関するすべての試験が完了していないことを事実上認めるものでもある。特に電磁カタパルトは、安全性と信頼性が確保できておらず、実験用艦載機の数も不足している可能性が指摘されている。

福建の最大の特徴は、スキージャンプ式飛行甲板を廃止し、フラットデッキでカタパルト発進方式を採用している点である。したがって、試験で最も重要なのは電磁カタパルトシステムそのものである。もし就役後すぐに再入渠することになれば、カタパルトや電力供給システムに技術的問題があった可能性を排除できない。

電力供給と蓄電システムの致命的リスク

CCTVの映像では、中国の「専門家」たちが「通常動力の空母でも必要な電力を供給できる」と主張し、「スーパーキャパシター(超級電容)」による蓄電方式で「パルス電力供給の課題を解決した」と説明した。

しかしこの説明では、福建の電磁カタパルトに必要な電力供給量や発進回数の上限が不明なままである。仮にキャパシターの蓄電が尽きれば、システムに故障がなくても即座に再始動できず、発進は停止する。今後もこの電力安定性が福建の大きな課題となるであろう。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
沈舟