中国本土でライノウイルス感染増加 複数の呼吸器感染症が同時流行

2026/01/17
更新: 2026/01/17

中国本土ではここ数週間、複数の呼吸器系ウイルスが同時に流行する中で、ライノウイルスの感染が大幅に増加している。1月15日に中国共産党(中共)疾病予防管理センターが公表した全国急性呼吸器感染症に関する週次報告によると、ライノウイルスは2週連続で、国内で感染を引き起こす主なウイルスの上位3位に入った。

疾病予防管理センターは1月7日、公式SNSで注意喚起を行い、ライノウイルスの陽性率が上昇している一方、特異的な治療薬やワクチンは存在しないと警告した。さらに1月9日には、ライノウイルス感染の予防方法や、インフルエンザとの見分け方についての通知を出している。

広東省など中国南部を中心に、各地の保健当局もライノウイルスへの警戒を呼びかけている。

ライノウイルスはピコルナウイルス科に属する一本鎖RNAウイルスで、一般的な風邪の主な原因の一つとされる。特に小児における急性上気道感染症で最も頻度の高い病原体である。最近の研究では、基礎疾患の有無にかかわらず、子どもの呼吸器疾患に大きく関与していることが示されている。

主な症状は、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、発熱などである。

少数の患者では、涙が出る、光をまぶしく感じる、まぶたの腫れ、結膜の充血(いわゆる結膜炎)を伴うこともある。また、副鼻腔炎や中耳炎を発症する場合もある。特に子どもは成人より症状が重くなりやすく、嘔吐や下痢を伴うこともある。

現在、ライノウイルスに対する特効薬やワクチンはなく、予防は主に非薬物的な対策に依存している。

再感染か、新たなウイルスか

中国本土では昨年11月以降、呼吸器感染症が広がり、病院には患者が押し寄せている。保健当局によると、H3N2型インフルエンザウイルス、RSウイルス、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、新型コロナウイルスなど、複数の病原体が同時に流行している。

SNS上では、インフルエンザのような症状があるものの、どのウイルスに感染したのか分からないと訴える投稿が相次いでいる。

ある投稿では、「インフルエンザが治って2週間も経たないうちに、鼻が完全に詰まるライノウイルスにかかり、息ができなかった」と書かれていた。別の住民は、「4日間高熱が続き、39.5度まで上がった。検査でライノウイルス陽性だった」と投稿した。また、「鼻水が4日続き、インフルエンザの薬を飲んでも効かなかった。新しいウイルスが流行しているのか」と疑問を呈する声もあった。

再感染を疑う声について、上海肺科医院呼吸・重症医学科の副主任医師である胡洋氏は、官製メディア人民日報に対し、患者が2種類のウイルスに感染している可能性があると説明した。病棟には、インフルエンザA型と新型コロナウイルスに同時感染している患者もおり、こうしたケースでは「再感染」のような症状が現れることがあるという。

また、北京佑安医院感染症科の主任医師、李東曽氏は、初回感染から1~2週間以内に同じインフルエンザウイルスに再び感染したように見える場合は、最初の感染が完全に回復していなかった可能性があると指摘した。一方、回復後2週間以上経って症状が再発した場合は、2回目の感染と考えられるが、通常は同じ型のウイルスではないとしている。

ライノウイルスの影響

台湾・高雄市の尚文診療所の程元瑜・呼吸器疾患専門医は、ライノウイルスはインフルエンザのように大きな変異性の高い遺伝構造を持たず、コロナウイルスのような人と動物をまたぐ性質もないとし、「歴史的にライノウイルスによる大規模な流行は起きていない」と指摘した。

特効薬がないため、治療は症状の緩和や細菌性肺炎などの合併症への対応が中心となる。ワクチンも存在しないことから、予防策は他の呼吸器感染症と同様で、免疫力の維持、手洗いの徹底、マスクの着用が重要だとしている。

また、カナダの公共大学教授で「劉氏ウィズダム・ヒーリング・センター」所長のジョナサン・リュウ氏は、複数の呼吸器疾患とともにライノウイルス感染が急増している背景について、「新型コロナウイルスのパンデミックによって、人の上気道が弱くなった結果だ」と述べた。

リュウ氏は、ライノウイルスには有効な特効薬がないとして、抗ウイルス薬や抗生物質の過剰使用に注意を呼びかけている。

Alex Wu
エポックタイムズの在米ライター。専門は中国社会、中国文化、人権、国際関係。