笠佐島問題と対外投資規制 日米に共通する安全保障上の課題

2026/04/10
更新: 2026/04/10

山口県周防大島町の離島・笠佐島における外国人による土地取得問題が8日、衆議院内閣委員会で日本の安全保障上の懸念として国会で取り上げられた。

自民党の長谷川淳二議員が外国人による土地取得規制の在り方について質疑を行った。長谷川議員は、防衛施設周辺や離島における土地取得が放置されれば「取り返しのつかない事態になりかねない」と指摘。規制強化の必要性を強調したほか、所有者が存在しない無主の離島について国有化を進めるべきだと提案した。

これに対し、小野田国務大臣は「外国人による土地取得等のルールのあり方検討会」で議論を進めていると説明した上で、全国に1万4千以上存在する離島の実態把握を優先し、無主地については国有財産化を検討する方針を示した。

瀬戸内海に浮かぶ笠佐島は人口わずか7人の小規模な島であるが、米軍岩国基地から約20キロ、海上自衛隊呉基地から約50キロと、軍事上の要衝に近接する位置にある。さらに愛媛県の伊方原発からも約50キロに位置しており、戦略的に極めて敏感な地理条件を有している。

同島では約10年前、中国人投資家が一部の土地を取得し、昨年末にはショベルカーやミキサー車が持ち込まれて整備が開始された。これに対し、地元や政界からは「将来的に中国の影響下に置かれるのではないか」「監視拠点やドローン運用拠点として利用される可能性がある」といった懸念が強まっている。

中国人の土地売買に関しては、米国においても問題視されている。米国では軍事基地や重要インフラ周辺における中国資本の土地取得に対する警戒が急速に強まっており、バイデン政権は大統領令を発動し、ワイオミング州のウォーレン空軍基地から約1マイルの場所に位置する、中国系資本が過半を出資する暗号資産マイニング企業の敷地を閉鎖させた。

さらに、ノースダコタ州のグランドフォークス空軍基地近郊で中国企業「阜豊集団」が農地を取得した事例を契機に、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査対象が拡大された。専門家は、こうした土地取得が通信インフラの傍受や妨害、さらには食料供給網への影響といったリスクを伴う可能性を指摘している。

加えて、米国では州レベルでも規制強化が進む。全米の約半数の州が外国政府やその代理人による農地所有や投資を制限しており、フロリダ州では中国居住者による不動産購入を禁止する法律が制定された。同法を巡っては差別性が争点となったが、連邦控訴裁判所は「差し迫った被害の証明がない」として訴えを退け、州法を支持する判断を示した。テキサス州では過去の類似法への異議申し立てが退けられた事例があるものの、フロリダ州と同等の新たな規制法案は議会で阻止されており、2025年に再提出される見通しとなっている。

笠佐島の事例は、日本における外国資本による土地取得問題が、単なる不動産取引の枠を超え、安全保障政策と直結する段階に入ったことを示している。米国が制度面・運用面の双方で監視を強化する中、日本においても実効性ある制度設計と迅速な対応が問われている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます