富士山麓で桜満開 オーバーツーリズムに悩む富士吉田市

2026/04/11
更新: 2026/04/11

雪を頂いた富士山が赤い五重塔の背後にそびえ、その手前には、一面に広がるピンクの桜を写真に収めようと大勢の人々が集まる。毎年春になると、この光景がSNSで広く拡散される。

今年も、この絶景を自分の手で撮影したいと願う観光客が、富士山のふもとにある静かな町、富士吉田市に押し寄せた。しかし、地元では苦情が相次いだ。交通渋滞やごみのポイ捨てが後を絶たない。一部の外国人観光客が私有住宅のドアをたたいてトイレを借りようとしたり、住民の庭先で排泄する事例まであったという。

こうした状況の悪化を受け、富士吉田市は2月、今年の恒例の桜まつりを中止すると発表した。この催しは10年前、観光振興を目的に始まったものだった。しかし、観光客の増加は同時にオーバーツーリズムも招き、自治体は対応に追われる事態となった。

富士吉田市経済環境課の羽田雅俊課長はAP通信に対し、「この辺りは主に住宅地であり、観光振興と住民の生活環境や安全との両立は非常に難しくなっている」と述べ、市としてこれ以上観光客を呼び込むような祭りの宣伝は行わない方針を示した。

公式行事は中止されたものの、4月初旬に桜の見頃を迎えると、現地は依然として多くの外国人観光客で賑わった。新倉山浅間公園へ続く狭い道には人があふれ、世界的に知られる景観を撮影しようと、観光客が長い列を作った。

オーバーツーリズムの典型例

近年、富士吉田市を訪れる外国人観光客は1日あたり1万人を超え、住民生活に深刻な影響を及ぼしているという。93歳の住民、森仁さんはAP通信に対し、「観光客が多いのはよいことだ」としながらも、外の混雑が激しいため、今では週に1回しか買い物に出られず、食料をまとめて買うようになったと語った。

富士吉田市は、4月1日の桜シーズン開始に合わせて警備員を増員し、観光スポット周辺への観光バスや一般車両の乗り入れを制限したうえで、観光客に対しては公園まで徒歩で向かうよう求めている。

警備員の永山博昭さんは、交通整理に追われる一方で、観光客にたばこの吸い殻を決められた場所に捨てるよう案内している。
日本語だけでは意思疎通が難しい。屋台で食べ物を買ったあと、そのままごみを捨てていく人もいるという。
永山さんはAP通信に対し、これはオーバーツーリズムの典型例だと話した。

制服店を営む中村雅美さんは「閑静な暮らしに慣れている人たちにとって、この変化はあまりにも大きい」と語り、観光客には、私たちのルールやマナーを尊重してほしいと訴えた。

日本各地にも広がるオーバーツーリズム

オーバーツーリズムは、京都や鎌倉など日本のほかの観光地でも問題となっている。京都では、大きな荷物を持った観光客によって市バスの利用に支障が出ていると、地元住民から不満の声が上がっている。

政府はオーバーツーリズムへの対策を進めるとしているが、その一方で、現在4千万人の訪日客数を2030年までに6千万人へ増やす目標も掲げている。日本の総人口は約1.23億人で、昨年の在留外国人数は前年比9.5%増の413万人となった。このうち中国人は在留外国人全体の22.6%を占め、引き続き最も多い外国籍住民となっている。

高市政権は現在、1950年代以降で最も厳しいとされる外国人政策の見直しを進めており、永住資格の審査基準についても全面的な厳格化を打ち出している。

李言