高市早苗首相は6月26日、経済財政諮問会議での議論を踏まえ、今後の財政運営と予算編成における抜本的な転換案を示した。民間議員からの「5原則」提案や、片山大臣による「予算編成改革の具体化」に関する報告をもとに、「経済成長」と「財政の持続可能性」を両立させる新たな枠組みを「骨太方針」に向けて検討する。
内閣府の試算では、日本の成長戦略による経済効果が十分に発現すれば、一定の追加的な財政支出を行った場合でも、債務残高対GDP比は概ね安定的に低下していく見通しが示された。これを受け、政府は財政運営の目標の中核を「国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下」に位置付ける方針だ。
これまで財政再建の目安とされてきたプライマリーバランス(PB)については、債務残高対GDP比の低下に向けた「確認する指標」へと役割を変える。そのうえで、債務残高対GDP比の安定的低下と整合するよう、複数年単位で改善・管理していくとしている。
今後の予算編成では、物価や賃金の動向を的確に反映し、経済の成長力強化と名目の経済規模拡大にふさわしい枠組みへと転換する。歳出改革を継続する中で、伸ばすべき分野と見直すべき分野を厳格に区別し、施策の優先順位を洗い直して大胆な重点化を図る。
社会保障関係費については「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」とする方針が掲げられた。
さらに、国内投資を通じて潜在成長率の引き上げを狙う「危機管理投資」や「成長投資」を、予見可能性を持って進めるため、通常の歳出とは切り離した「新たな投資枠」を創設する。この投資枠では、真に効果的な投資支援策を取り込めるよう、事項要求も含めて必要な額の要求を可能とし、要求上限、いわゆるシーリングを撤廃する。
また、予見可能性を高めるため複数年度計画を基本とし「原則3年以内」とする現行の基金ルールを抜本的に見直す。経済安全保障など特に重要な分野では、複数年度で財源を確保したうえで「償還財源の裏付けのあるつなぎ国債」を発行し、特別会計で別枠管理する。
財政運営では、秋の大規模な経済対策に基づく補正予算に依存してきたこれまでのあり方から脱却し、恒常的な施策は当初予算で措置する方針も明言された。今後の補正予算編成は、「真に緊要性の高い施策」に限定する。
高市首相は、こうした見直しを含む財政運営について、様々な指標を示しながら国内外の市場関係者や国民に透明性高く丁寧に説明し、市場の信認を確保していく姿勢を強調した。
そのうえで、城内実内閣府特命担当大臣(経済財政政策)に対し、今回の新たな取り組みを「責任ある積極財政に基づく『中長期経済財政計画』」と位置付け、「骨太方針」や予算編成の基本方針に反映させるよう指示した。
また、片山さつき財務大臣には、概算要求基準を含む「予算編成の抜本改革」に向けた具体化を進めるよう指示した。
「骨太の方針」の策定が大詰めを迎える中、政府の検討はさらに加速する見通しだ。
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