米財務長官 円安でも「市場は落ち着いている」 植田総裁と会談へ

2026/08/31
更新: 2026/08/31

ベッセント米財務長官は8月30日、最近の円相場について「比較的落ち着いた動きだ」と述べ、無秩序な値動きではないとの見方を示した。円は28日、一時1ドル=160円台まで下落し、市場では再び警戒感が高まっている。

ベッセント氏はノースカロライナ州アッシュビルでロイターのインタビューに応じた。円安を抑えるため、日銀が利上げのペースを速めるべきか問われると、高市早苗首相の後押しを受け、植田和男日銀総裁は「正しい判断をするだろう」と述べた。

また、8月31日から9月1日にアッシュビルで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、植田氏と会談する予定だと明らかにした。

ベッセント氏は植田氏とは15年来の知り合いだとし、「優れた経済学者だ」と評価。市場を見極める能力についても、十分に評価されていないとの見方を示した。

「アベノミクス」から「高市ノミクス」へ

ベッセント氏は、日本はすでにデフレから脱却したとの認識を示した。その上で、日本の経済政策はデフレ脱却を目指した「アベノミクス」から、戦略投資や成長促進、規制緩和を重視する「高市ノミクス」へ移行していると指摘した。

アベノミクスは、安倍晋三元首相が2013年に本格的に打ち出した経済政策で、大規模な金融緩和、積極的な財政出動、成長力を高める政策を組み合わせ、長期にわたるデフレからの脱却を目指した。

ベッセント氏は、高市政権の政策について、株主利益をより重視する内容だと評価した。特に労働市場の大幅な規制緩和により、政府の経済への介入が減るとの見方を示した。

また、日本は「アベノミクスの成功を享受し、その効果が続くのを見守ればよい」と述べ、これまでの景気刺激策の効果を生かすべきだとの考えを示した。

高市内閣は「責任ある積極財政」を掲げ、「危機管理投資」と「成長投資」を経済政策の柱としている。AIや半導体、防衛、エネルギーなどへの投資を拡大し、国内の供給力と成長力を高める方針だ。

円 1ドル=160円台に下落

円は最近、再び下落基調を強め、28日には一時1ドル=160円台まで値下がりした。市場では160円台が、政府による為替介入を意識する水準となっている。

日米は7月31日、異例の協調円買い介入に踏み切った。円や日本国債の売りが世界の金融市場に広がるのを防ぐ狙いがあった。ベッセント氏は当時、為替市場の「無秩序な」動きに対処するための措置だったと説明していた。

協調介入後、円は一時1ドル=155円台まで上昇したが、その後は再び下落し、8月28日には160円台まで円安が進んだ。

円安は輸入価格を押し上げ、インフレ圧力を強めている。日銀の利上げペースが緩やかなことや、日米の金利差が依然として大きいことも円安の要因となっている。

市場で9月利上げ観測強まる

円安が続くなか、市場では日銀が追加利上げに踏み切るとの見方が強まっている。

ロイター通信は8月中旬、関係者の話として、日銀が早ければ9月17、18日の金融政策決定会合で利上げする方向で検討していると報じた。今後は、これまで年2回程度としてきた利上げのペースを速める可能性もある。

ロイターが8月25日に公表したエコノミスト調査では、57%が9月の利上げを予想した。政策金利は現在の1%から1.25%に引き上げられるとの見方が出ている。

日銀は今年6月、政策金利を1%に引き上げ、約30年ぶりの高水準とした。

王君宜
王君宜