エクアドル元大統領に懲役5年 中国企業の水力発電事業めぐる汚職

2026/09/01
更新: 2026/09/01

中国企業がエクアドルに建設した水力発電所で、1万7千か所を超える亀裂など深刻な欠陥が見つかっている。同発電所の建設事業をめぐる汚職事件で、裁判所は8月28日、レニン・モレノ元大統領に懲役5年を言い渡した。73歳のモレノは障害のため歩行が困難で、自宅拘禁で刑に服する。

モレノは、ラファエル・コレア政権で副大統領を務めていた時期に、中国企業シノハイドロから賄賂を受け取り、同社に便宜を図ったとして有罪となった。

モレノの妻と娘、兄弟2人、義兄も共犯として有罪となり、それぞれ懲役2年6か月から3年の判決を受けた。裁判所はさらに、被告全員に不正所得の3倍を90日以内に支払うよう命じた。

検察によると、2008年から2018年にかけて、汚職に関与した一団が受け取った賄賂は、中国水電建設集団が請け負った事業費の4%に当たる約7610万ドルに上る。資金は国内外の取引を

経て、モレノを含む公職者らに渡ったという。

エクアドルのメディア「プリミシアス」によると、中国の駐エクアドル大使を務めた後、中国水電の現地法人の法定代表者となった蔡潤国のほか、中国企業側の幹部2人と現地の仲介業者も、汚職事件の主犯格として有罪判決を受け、懲役5年を言い渡された。

中国水電は2010年、コカ・コド・シンクレール水力発電所の建設に着工した。総工費は約20億ドルで、2016年に完成し、エクアドル側に引き渡された。

しかし、稼働後、施設の深刻な欠陥が次々と明らかになった。

監査当局による調査では、発電施設内で1万7千か所を超える亀裂が確認された。さらに、重大な設計上の問題や河床侵食のリスクも指摘され、これまで一度も設計上の最大出力で稼働していない。決壊の恐れも指摘されている。

2024年1月から6月までの実際の発電量は、設計時の想定の42%にとどまった。これにより、国内では8時間を超える停電が19回発生した。

モレノは判決後、「中国企業から金銭を一切受け取っていない」と主張し、今回の事件はコレア元大統領による政治的な報復だと訴えた。

一方、裁判所は判決で、300件を超える国際的な資金移動や契約資料などを照合した結果、中国企業側による贈賄を裏付ける証拠は十分だとした。