ドイツ情報機関の元長官逮捕 国家反逆とスパイ容疑

2026/10/07
更新: 2026/10/07

ドイツ連邦検察庁は10月6日、国家反逆やスパイ活動に関与した疑いで、ドイツ連邦情報局の元長官アウグスト・ハニング(80)を逮捕したと発表した。

ハニングはドイツ南部バイエルン州の自宅で逮捕された。警察は同日、西部シュタインフルトで、ハニングの元部下マンフレート・Dも逮捕した。2人はその後、カールスルーエにある連邦通常裁判所に出廷した。

連邦検察庁によると、ハニングには国家反逆に関わるスパイ活動や国家機密の不正入手、国家反逆未遂などの疑いがある。マンフレート・Dには、国家反逆未遂や国家反逆に関わるスパイ活動を幇助した疑いが持たれている。

機密文書約2千点が流出 報酬と引き換えに提供か

ハニングは1998年12月から2005年11月まで情報長官を務めた。その後、連邦内務省の事務次官を経て、民間のコンサルタントとして活動していた。

一方、マンフレート・Dは2012年3月から2026年3月まで歴代情報長官の首席補佐官を務め、長年にわたって機密情報に接する立場にあった。

捜査によると、2人は2010年春ごろ、マンフレート・Dが報酬と引き換えに連邦情報局の内部情報をハニングへ継続的に提供することで合意したとみられる。

マンフレート・Dは長年にわたり、約2千点の文書をハニングに提供したとされる。その中には、連邦情報局内部だけで扱う機密文書や、首相府高官向けの極秘報告書も含まれていた。

ハニングは、こうした情報を自身のコンサルティング業務に利用した疑いがある。また、機密情報を使って外国情報機関の職員向けに分析報告書を作成したほか、同機関の関係者にも長年にわたり政治関連の情報を提供していたとされる。

検察当局は、関係する外国情報機関の名前を公表していない。「南ドイツ新聞」によると、今回の事件にロシアは関与していないという。

誘拐事件の捜査で機密文書発見 スパイ疑惑に発展

地元メディアによると、今回のスパイ疑惑が発覚したきっかけは、ドイツのステーキハウスチェーン創業家出身のクリスティーナ・ブロックをめぐる親権争いと誘拐事件だった。

ブロックは2023年、自身の幼い子供2人の誘拐を計画したとして起訴された。捜査当局は、ハニングもそれ以前に起きた2人の誘拐未遂事件に関与した疑いがあるとみているが、本人は関与を否定している。

警察は誘拐事件に関連する捜索で、押収した電子記録媒体から連邦情報局が近年作成した機密文書を偶然発見した。この発見が、元情報機関トップによるスパイ疑惑の捜査につながった。

連邦情報局のマルティン・イェーガー長官は、疑惑が浮上した後、直ちに大規模な内部調査を開始したと説明し、「組織内部の安全管理に妥協は許されない」と強調した。

ハニングはロイターなどの取材に回答しておらず、ドイツ首相府もコメントを控えている。

李言