10月6日、米フロリダ州のジェームズ・ウスマイヤー司法長官は、Wi-Fiルーター製造会社TP-Linkを相手取り訴訟を起こした。TP-Linkが製品の安全性や中国との関係について、フロリダ州の消費者に誤解を与えていたと主張している。
ウスマイヤー氏は、フロリダ州第10司法巡回裁判所のポーク郡に訴状を提出した。
同氏は収録した動画声明で、「TP-Linkは家庭ネットワークへの『デジタルな入口』をフロリダ州民に販売しながら、製品は安全で信頼できると虚偽の説明をしてきた。また、中国(共産党)から独立した企業であるかのように装い、利用者のデータがさらされる可能性のあるリスクを隠していた」と述べた。
ウスマイヤー氏によると、TP-LinkはルーターやセキュリティサービスHomeShieldについて、あらゆるセキュリティリスクに対応し、「100%の保護」を提供できると宣伝していた。
「こうした説明は事実ではない。われわれはTP-Linkを提訴する」と述べた。
さらに、「中国(共産党)政府の支援を受けたハッカーが、米国の家庭に置かれたTP-Link製ルーターを悪用して攻撃を行っている。多くの機種は自動更新に対応しておらず、TP-Linkもすでに一部機種へのサポートを打ち切っている」と指摘した。
TP-Linkと中国共産党(中共)との関係についても問題視した。
「同社はフロリダ州民に対し、中国から切り離され、米国向け製品をベトナムで生産していると説明していたが、全く事実ではない。研究開発と生産は今も中国で行われている。ベトナム工場で使われる部品のうち、ベトナム製は1%にも満たない」と述べた。
訴状は、こうした行為によって消費者のインターネット接続の安全が脅かされ、利用者が知らないうちに外国政府による悪意ある攻撃の一端を担わされるおそれがあると指摘している。
ウスマイヤー氏は「家庭が誤った情報によって、個人データを中共に差し出すようなことは許さない」と述べ、TP-Linkに対する差し止め命令やフロリダ州の消費者への損害賠償、州法に基づく責任追及を求める考えを示した。
今回のTP-Linkへの提訴は、ウスマイヤー氏がこの1年間に複数のテクノロジー企業を相手に起こしてきた一連の訴訟の一つである。
TP-Linkは低価格を強みに、米国の家庭や小規模事業者向けルーター市場で約65%のシェアを占めている。米アマゾンでも主要なルーターブランドとなっており、米国防総省をはじめとする連邦政府機関にもネットワーク通信サービスを提供している。
2025年に米国で大規模なサイバー攻撃が相次いだことを受け、議会では民主、共和両党からTP-Link製ルーターの安全性を懸念する声が強まった。セキュリティ上の脆弱性が中共と関係のあるハッカーに悪用され、米国内のネットワークへの攻撃に利用されるおそれがあるとの指摘が出ている。
同年5月には、上院情報特別委員会のトム・コットン委員長ら十数人の共和党議員が、TP-Link製品の販売を禁止するよう米政府に求めた。
マイクロソフトは2024年、少なくとも2021年以降、中共と関係のあるハッカーが侵害したTP-Link製ルーターを利用して秘密のネットワークを構築し、同社の顧客から機密性の高いログイン認証情報を盗んでいたと指摘した。
しかし、TP-Link Systemsが修正パッチを公開したのは、脆弱性が報告されてから4か月後の2024年11月だった。対象機器はすでに生産を終了しており、現在はアップデートも提供されていない。
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