かつて自由と繁栄の象徴だった香港。世界中から人とお金が集まり、夜遅くまで街は活気に満ちていた。
しかし今、かつての香港の面影は薄れつつある。
民主的な自由が失われ、中国本土の政治体制に近づいていく香港。街からはかつてのにぎわいが消え、シャッターを下ろした店が目立つようになった。
香港ではこの約3年間、飲食店や小売店などの閉店が相次いでいる。数十年続いた老舗から大手スーパー、有名衣料品店まで次々と姿を消している。
SNSにも閑散とした街並みを映した動画が数多く投稿され、「香港はどうしてしまったのか」と驚きや嘆きの声が広がっている。
2026年7月には、企業の強制清算を求める申し立てが104件に達し、約22年ぶりの高水準となった。失業者は約15万4千人に上り、若者の失業率は9.1%に達している。
では、現地の人々はこの変化をどう感じているのか。
本紙記者が取材した香港在住の丁原さん(仮名)は、「以前は夜の外食が盛んで、レストランも繁盛していた」と振り返る。2019年の大規模な民主化デモ以降、警察による身分証の確認などが増えて夜の人出が減り、その後のコロナ禍も街の衰退に拍車をかけたという。
別の香港住民、小蘭さん(仮名)は、「香港人の店が潰れても、すぐに中国本土の商人が新しい店を開く。見た目はにぎやかでも、経営者はもう地元の香港人ではない」と語る。かつて予約が取れなかったレストランも今では空席が目立ち、中間所得層や子育て世代を中心に海外へ移住する人も多いという。
本紙記者の取材では、香港の政治環境の変化を恐れ、率直に話すことをためらう住民も少なくなかった。
一方、香港政府が発表した2026年上半期の経済成長率は5.1%。数字の上では経済が成長しているのに、街では店が潰れ、仕事を失う人が増えている。
さらに今年9月、香港政府は中国本土にならった初の「五カ年計画」を打ち出した。香港政府は「これまで通り、企業は自由に商売できる」と説明している。しかし、中国政府の意向が経済にも強く反映されるようになれば、香港が長年誇ってきた自由と活力が失われるのではないかと懸念されている。
ネット上では、こんな皮肉も広がっている。「政府には五カ年計画。私には移民計画がある」
かつて自由と繁栄を誇り、多くの人が夢を求めて集まった香港。今、その街を離れることが未来への希望になってしまったとすれば、なんとも悲しい変化ではないだろうか。
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