中国車 国内販売低迷で輸出依存強まる EUは輸入規制を検討

2026/10/13
更新: 2026/10/13

中国の9月の乗用車国内小売台数は前年同月比28%減となった。ガソリン車などのエンジン車が大きく落ち込む一方、新エネルギー車の市場シェアは過去最高となった。国内販売が低迷するなか、輸出は7割超増え、中国メーカーの業績を支えている。

ただ、輸出をめぐる環境は厳しさを増している。中国共産党(中共)当局は新エネルギー車の輸出時に適用する付加価値税(増値税)の還付率を引き下げる方針を示し、EUも中国製ハイブリッド車への新たな輸入制限を検討している。

中国の乗用車販売28%減 エンジン車は大幅縮小

中国自動車流通協会の乗用車市場情報聯席分会(乗聯分会)が10月12日に発表したデータによると、2026年9月の中国乗用車市場の小売台数は161万8千台で、前年同月比28.0%減、前月比5.0%増だった。

1~9月の累計小売台数は1333万4千台で、前年同期比21.7%減となった。

9月はガソリン車などのエンジン車の落ち込みが目立った。小売台数は前年同月比43%減り、このうちハイブリッドを除くエンジン車は49%減だった。一方、通常のハイブリッド車は25%増えた。

中国メディア「毎日経済新聞」によると、エンジン車の国内販売は4月以降、大幅な前年割れが続いている。4~9月の前年同月比の減少率は、それぞれ32.2%、37.5%、45%、45.7%、45.7%、45.3%だった。

自動車市場全体でも減速が続く。1~9月の中国の自動車生産台数は2324万6千台、販売台数は2327万1千台で、いずれも前年同期比4.5%減った。

新エネルギー車も減少 市場シェアは上昇

EVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの新エネルギー車も、9月の小売台数は前年同月比16.7%減った。中国系ブランドは19%減、高級ブランドは8%減った一方、外資系合弁ブランドの新エネルギー車は36%増えた。

中国系ブランド全体の小売台数は113万台で、前年同月比25%減、前月比5%増だった。国内乗用車販売に占める割合は69.8%と、前年同月から2.8ポイント上昇した。

新エネルギー車の販売台数自体は前年を下回ったものの、エンジン車の落ち込みがより大きかったため、乗用車市場に占める新エネルギー車の割合は過去最高となった。

輸出73.7%増 国内販売の落ち込みを補う

国内市場が低迷する一方、輸出は大きく伸びた。

9月の乗用車輸出台数は、完成車とCKD(完全ノックダウン方式による部品輸出)を合わせ91万7千台で、前年同月比73.7%増となった。乗用車メーカーの販売台数に占める輸出の割合は36%に達し、2025年9月の19%から大幅に上昇した。

輸出台数のうち、新エネルギー車は60.8%を占めた。

中国自動車工業協会は今年1~9月の市場について、国内市場が低迷する一方、海外販売が好調な「内冷外熱」の状態にあるとの見方を示している。

乗聯分会も、輸出が国内販売の落ち込みを補い、自動車メーカーの販売台数や利益を支える重要な柱になっていると分析した。

新エネルギー車の輸出還付率 13%から9%へ

中共財政省と国家税務総局は10月12日、2027年4月1日から、新エネルギー車の輸出時に適用する付加価値税の還付率を13%から9%へ引き下げると発表した。

乗聯分会の責任者、崔東樹氏は中国メディアに対し、今回の措置について、自動車メーカーに過度な値下げ競争の是正を促す効果があるとの見方を示した。

新エネルギー車と動力電池の専門家、楊偉斌氏も、市場シェア獲得を目的に採算を度外視した低価格販売が海外へ広がるのを抑える狙いがあるとみている。

楊氏によると、輸出時の付加価値税還付率が高ければ、車両を原価以下で海外販売しても税還付によって損失を補えるケースがあるという。

EU 中国製ハイブリッド車の輸入制限を検討

一方、EUでも中国車への規制を強化する動きが出ている。

ブルームバーグが10月11日に報じたところによると、EUは中国製ハイブリッド車の欧州市場での販売急増を受け、新たな輸入制限策を検討している。

ブルームバーグが入手した計画文書では、対象車両に輸入枠を設け、初年度を35万台とし、2年目以降は毎年6%ずつ拡大する案が浮上している。計画は今後、EU内部での協議と承認が必要となる。

崔東樹氏は、今年の中国製プラグインハイブリッド車のEU向け輸出台数が80万台近くに達すると予測しており、新たな措置を導入すれば、来年は輸出が減少するとの見方を示した。

10月8~9日に、第2回中国・EU貿易投資対話を北京で開いた。その前日には欧州議会が、中国の産業政策への対応強化を求める決議を可決している。

米国の経済学者黄大衛氏は、欧州が対中関係で貿易だけでなく、産業安全保障やサプライチェーン、技術主権を重視するようになっており、中欧経済関係の前提が変わりつつあると分析する。

黄氏は、中欧間の貿易摩擦について「貿易戦争に発展する臨界点がすでに近づいている」と述べ、今後さらに複数の産業分野へ広がる可能性を示した。

李浄