台湾・香港 中国のネット検閲を逆手に取った高校生の機転

中国のライブ配信に効く「魔法の言葉」 台湾で珍騒動

2026/10/25
更新: 2026/10/25

中国向けのライブ配信を一瞬で黙らせる方法をご存じだろうか。

中国通の間では、とっくに知られた手がある。それは、中国当局の検閲に引っかかる言葉を叫んだり、コメント欄に書き込んだりすることだ。

例えば、天安門事件を指す「8964」、「台湾独立」「香港独立」「打倒共産党」など。

こうした言葉が配信に入ると、アカウントの凍結を恐れた配信者が慌てて配信を終了したり、検閲システムによって強制的に中断されたりする可能性がある。

10月20日夜、台湾南部の台南駅で、まさにこの「魔法の言葉」が威力を発揮する一幕があった。

最近新しくなった台南駅には、誰でも自由に演奏できる公共ピアノが設置されている。

この日、一人の高校生が日本の人気音楽ユニットYOASOBIの代表曲「群青」を演奏していた。

そこへ突然、スーツケースを引いた男が現れた。

男はスマートフォンでライブ配信をしながら、「北京、中国の同胞の皆さん! 今からこのイケメンを生中継します!」とカメラに向かって大声で呼びかけた。

そして、なぜか高校生の演奏に割り込むように中国国歌を熱唱。「台南駅で中国国歌を歌った第一号だ!」と得意げに宣言し、演奏を何度も妨害した。

しかし、高校生は動じなかった。最後まで「群青」を弾き終えると、立ち上がって聴衆に礼儀正しくお辞儀をし、感謝を伝えた。

そして、男のカメラの前に歩み寄り、堂々と叫んだ。

「台湾万歳! 中華民国万歳!」

すると、それまで威勢よく歌っていた男は一転、「ああ、待って、待って!」と大慌て。「今のは私の考えじゃありません!」と言わんばかりに、配信の視聴者に向かって必死に弁解し始めた。

この動画がネットで拡散されると、「『台湾万歳』だけでこの慌てよう。『8964』まで叫ばれたら、スマホを投げ捨てて逃げたかも」といった悪知恵が次々と飛び出し、ネットユーザーたちはこの珍騒動を面白がっていた。

実は、この「魔法」は日本でも使われたことがある。

東京・東中野の中華料理店「西太后」では、2023年、店先に掲示された中国人客の入店制限に関する貼り紙をめぐり、騒動が起きた。

「中国人差別だ!」と怒った中国人インフルエンサーが店に押しかけ、店主に詰め寄って警察まで呼び、その一部始終を動画に撮って中国のSNSに投稿した。

動画が拡散されると、店には中国から嫌がらせ電話が殺到。ネット上には悪質な口コミが書き込まれ、さらに別のインフルエンサーたちまで次々と押しかけて騒ぎを起こした。一時は営業日にも店を開けられないほどだった。

そこで店主が取り入れたのが、台湾のネットユーザーから教わった「魔除け」だった。

店内外に「六四天安門事件」「台湾独立」「香港独立」など、中国のネット検閲に引っかかる言葉を掲示したのだ。

 

「西太后」店内に掲げられた反共グッズ。ヒトラーの顔をした「くまのプーさん」が手にしているのは台湾の国旗と台湾総統選候補「頼清徳」氏の応援旗。(李凌/大紀元)

 

すると、迷惑なインフルエンサーたちは姿を見せなくなったという。騒ぎから約1か月後、大紀元の取材に「いい魔除けが入ったからね」と店主は自慢げに語った。

中国向けの動画で注目を集めようとした人々が、中国の検閲を恐れて近づかなくなる。台湾の高校生が使った「魔法の言葉」は、日本でも思わぬ威力を発揮していたのだ。



【写真特集】「反共のメッカ」中華料理・西太后 その後は「落ち着きを取り戻しました」

いまや「反・中共のメッカ」となった日本人経営の中華料理店「西太后」。「魔除け札」を貼ったことで、迷惑な中国人は来なくなった。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!