中国 笑えない流行語が映す中国の現実

中国の若者、寝そべった次は「壁掛け」?

2026/11/05
更新: 2026/11/04

「寝そべり」、「ネズミ人間」、そして今度は「壁掛け」?

中国の若者たちの間で、新たな自虐的な呼び名「掛壁青年(文字通り「壁にぶら下がる若者」)」が話題になっている。

社会に居場所を見つけられず、宙ぶらりんになった自分たちを表す言葉だ。

彼らの生活は「1日働いて、3日寝る」。日雇いやアルバイトで最低限の生活費を稼ぎ、あとは安い部屋にこもって、できるだけお金を使わずに過ごす。

中国の時事誌『南風窗』によると、24歳の女性は「寝ているのが一番お金がかからない」と、一日の大半をベッドで過ごし、食事はほぼ1日1回。26歳の男性は仕事が見つからず、家族に言い出せないまま、約2年間「出勤するふり」を続けていた。

中国では近年、若者の苦しい現実を映す言葉が次々と生まれている。

激しい競争に疲れ、自ら頑張ることをやめた「躺平(タンピン=寝そべり族)」。狭い部屋に閉じこもり、昼夜逆転の生活を送る「鼠人(ネズミ人間)」。そして今度は「掛壁青年」だ。

「寝そべり族」が自ら競争を降りたのに対し、「掛壁青年」は、働きたくても安定した仕事が見つからず、社会の片隅に追いやられた若者たちを指す。「社会の端に追いやられ、宙ぶらりんになって、地に足をつけることさえできない」。そんな自嘲が、この呼び名には込められている。

背景には、長引く景気低迷と深刻な就職難がある。大学を卒業しても仕事が見つからない。懸命に努力しても報われず、頑張ったところで暮らしは変わらない。そんな経験を重ねるうちに、将来への希望まで失っていく。

かつては「頑張れば豊かになれる」と信じていた若者たちが、今は「どうすればお金を使わずに生きられるか」を考えている。

奇妙な呼び名は次々と生まれる。しかし、その裏にあるのは、笑い話では済まされない若者たちの諦めと絶望だ。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!