中国の理不尽な要求に台湾有名YouTuberがノー、「土下座はしない」

2019/12/23
更新: 2019/12/23

反中国共産党の機運が世界各地で高まる中、中国当局からの圧力に屈しない人が増えている。インターネット上ではこのほど、中国当局を批判する台湾ユーチューバーの「波特王(ポッターキング)」とトルコ系ドイツ人サッカー選手のメスト・エジル選手の行動が注目されている。

波特王の「総統」騒ぎ

「波特王」こと、本名陳加晋氏は、中国本土と台湾に多くのファンを持つ。12月14日、YouTubeに、台湾の蔡英文総統とイベントに参加した動画を投稿した。動画の中で、波特王は蔡総統に対して、「総統」と呼んでいた。動画は20日午後3時の時点で、130万回以上再生された。

しかし、陳氏の動画を中国国内で配信する企業、徐州自由自在網絡科技有限公司(papitube、パピチューブ)は、この「総統」の呼び方を問題視し、映像を削除しなければ、契約を解除すると陳氏に圧力をかけた。

これに対して、陳氏は15日、フェイスブックに投稿し、圧力に屈しない姿勢を示した。「われわれの国家元首を『総統』と呼べなかったら、この稼ぎは要らない」「毎月の損失は少なくないが、土下座はしない」と書き込んだ。

パピチューブは同日、陳氏との契約解除の決定を「微博」で発表した。

台湾メディアの調べによると、中国国務院直属の光大集団の子会社、印紀光大文化産業基金がパピチューブに出資していることがわかった。

12月にオーストラリアに亡命した中国人元スパイ、王立強氏によると、光大集団は香港上場企業の中国創新投資公司の親会社で、創新投資公司は中国軍の管理下にあり、中国当局のためにスパイ活動を行っているという。

蔡英文総統は16日、メディアの取材に対して、パピチューブが陳氏との契約を解除したことについて「非常に受け入れられないことだ。『台湾総統』はごく自然な呼び方だ」と批判した。

総統と陳氏の協力して撮影した新たな映像が19日、総統のYouTubeアカウント「英文英文」で公開された。

エジル選手のウイグル弾圧批判

サッカーの英イングランド・プレミアリーグ、アーセナルのMFエジル選手(31)は12月13日のツイッターで、中国当局による新疆ウイグル人への弾圧を批判するコメントを書き込んだ。

中国当局は報復措置として、16日未明に予定していたイングランド・プレミアリーグのアーセナル対マンチェスター・シティ戦の放送を中止した。また、人気モバイルサッカーゲーム、「プロ・エボリューション・サッカー」からエジル選手を削除した。

それでも、アーセナルもエジル選手も中国当局に「謝罪」していない。

在米時事評論家の唐靖遠氏は、「香港デモをめぐる米プロバスケットボール協会(NBA)への対応と比べると、中国当局のエジル選手やアーセナルに対する態度は意外にも控えめだ」と指摘した。

10月上旬、米NBAのヒューストン・ロケッツのゼネラル・マネジャー、ダリル・モーリー氏はツイッターで、「香港とともにいる」と書き込み、波紋を広げた。中国の国営テレビ局や動画配信サービス会社が、ロケッツの試合の放送と配信を取りやめると発表した。中国の複数のスポンサー企業もロケッツとの提携関係を打ち切ると公表した。中国官製メディアやネット上の五毛党(ネット世論誘導工作員)がモーリー氏を始め、NBAへの中傷を繰り広げた。

唐氏は、「中国当局はNBA事件の教訓を学んだ」との見方を示した。官製メディアと五毛党らが猛烈にNBAやロケッツ、モーリー氏を攻撃した結果、米国の世論は反中国共産党の姿勢を強めた。また、中国側への反発として、NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏は、表現の自由を守る必要があるとし、オーナーや選手、職員の発言を禁じることも促すこともしないと表明し、態度を変えた。

唐靖遠氏は、世界的にみるとサッカーのファンはNBAのファンよりはるかに多いことも、アーセナルとエジル選手が強い姿勢を出せた理由だと分析。「もし中国当局がエジル選手とアーセナルに報復する場合、短時間にドイツ、イギリスそして世界各国の数億人のサッカーファンを敵に回すことになる」

イングランド・プレミアリーグの2019-20シーズン放映権収入は約117億ドル(約1兆2806億円)と見込まれている。2016年、中国本土の配信サービス大手PPTVが7億ドル(約776億円)で、同プレミアリーグの中国向け放映権を獲得した。海外向けの放映権契約として過去最高額だという。契約期間は2019-20シーズンから3年間。ただ、「金額を見れば、中国企業が爆買いをしても、まだ相手に文句を言えるほどの立場にはなっていないということがわかる」

唐氏は、中国共産党政権の長年の高圧的な態度に対してはっきりと「ノー」と言ってきたトランプ大統領らの影響で、国際社会で共産党に反発する人が増えているとの見方を示し、「当局の海外向けのプロパガンダは完全に失敗している」と述べた。

(翻訳編集・張哲)

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