古都・奈良で日韓首脳が共鳴 戦略的連携の深化と「ドラム外交」による信頼構築

2026/01/14
更新: 2026/01/14

令和8年(2026年)1月13日、高市早苗総理大臣は訪日中の韓国・李在明(イ・ジェミョン)大統領と奈良県で首脳会談を行った。厳しい戦略環境の中での連携強化を確認しただけでなく、両首脳によるドラム演奏といった異例の演出も行われ、日韓関係の新たな局面を印象付けるものとなった。

(出典:首相官邸YOUTUBEチャンネル)

1. 高市総理によるSNS(X)での報告

高市総理は会談当日、自身のXアカウント(@takaichi_sanae)を更新し、会談の成果とエピソードを報告した。

(写真:内閣広報室提供)
  • 戦略的連携の確認: 安全保障環境が厳しさを増す中、日韓および日韓米の連携の重要性が高まっていることを強調し、地域の安定に向けて共に役割を果たすことで一致した。
  • 経済・経済安保: 互いに利益をもたらす戦略的な協力について議論を深めた。
  • サプライズ演出: 昨年、李大統領が「ドラムを叩くのが夢だ」と語っていたことを受け、高市総理はドラム演奏をサプライズで準備した。両首脳は、BTSの「Dynamite」や「Golden」に合わせて演奏を披露し、李大統領から「長年の夢が叶い嬉しい」との言葉を引き出した。
  • 奈良の食でもてなし: 夕食会では、奈良の食材をふんだんに使った和食を提供し、大統領夫妻や代表団を歓迎した。
(写真:内閣広報室提供)

2. 日韓共同記者会見の要旨

会見では、安全保障から社会問題、歴史問題に至るまで、幅広い分野での合意事項が発表された。

【高市総理の発言内容】

  • 「シャトル外交」の定着: 前回の訪韓から間を置かずに李大統領を自身の地元である奈良に招けたことを、両者の強い信頼関係の証であるとした。今後もシャトル外交を継続し、再び訪韓することに意欲を示した。
  • 安全保障と組織犯罪対策: 北朝鮮の完全な非核化に向けた日韓米の緊密な連携を再確認した。また、共通の課題である「国境を越えた組織的詐欺(スキャム)」への対応について、協力を加速させるための文書策定に合意した。
  • 経済安全保障: サプライチェーン協力について踏み込んだ議論を行い、関係部局間で実務的な議論を進めることで一致した。
  • 拉致問題への支持: 李大統領から、拉致問題の即時解決に対する力強い支持を得たことに感謝を述べた。
(写真:内閣広報室提供)

【李在明大統領の発言内容】

  • 「温故知新」の知恵: 慶州(キョンジュ)と奈良という日韓の交流を象徴する古都での連続会談を高く評価し、先人が文化を分かち合った歴史を資産として未来を築くべきだと説いた。
  • 社会問題への共同対応: 「韓日共通社会問題協議体」を通じ、少子高齢化、地方の衰退、自殺予防といった両国共通の課題に具体策を導き出すことで一致した。
  • 未来世代の交流拡大: 人的交流1200万人時代を見据え、若者の出入国手続きの簡素化や、IT分野以外の技術資格の相互承認の拡大を提案した。
  • 歴史問題の進展: 山口県宇部市の長生炭鉱で発見された遺骨のDNA鑑定を推進することを歓迎し、「歴史問題において小さくとも意味のある進展を遂げられた」と感慨を述べた。

3. 会談の背景:なぜ「奈良」なのか

今回の会談が奈良で行われた背景には、李大統領の強い希望があった。李大統領は、古代から韓国との深い繋がりを持つ奈良を、慶州と並ぶ「交流と協力の歴史を象徴する都市」と位置付けている。

高市総理にとっても、就任後初めて外国首脳を自身の地元に招くことで、個人的な友情と信頼関係を対外的に示す意図があったと考えられる。また、法隆寺への案内も予定されており、文化的な共通点を再確認することで、緊張しがちな政治・外交関係を和らげる狙いも見て取れる。

4. 未来志向の関係は維持されるか

今後は、以下の3点が日韓関係の焦点となるだろう。

  • 実務協力の具体化: 組織詐欺対策の文書策定や、経済安全保障におけるサプライチェーン協力など、合意された実務的な枠組みがどれだけ迅速に実行に移されるかが試される。
  • 歴史問題の継続的な管理: 長生炭鉱の遺骨問題で見せたような「具体的かつ静かな進展」を積み重ねることで、歴史問題が政治全体を停滞させないような管理が続けられるかが重要となる。
  • シャトル外交の恒常化: 両首脳が確認した通り、首脳同士が頻繁に行き来する「シャトル外交」が定着すれば、問題が生じた際も早期の意思疎通による解決が期待できる。

高市総理は、本年を「日韓関係を更なる高みに発展させる年」にすると意気込んでおり、日米韓3カ国の枠組みも含め、安定的な関係構築が続くかが注目される。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。