中国共産党(中共)内部で続いてきた内戦は、1月25日までに完全に表面化し、党の結束と統制が保たれているかのように見せてきた外観は崩れ去った。
党内抗争に関わるすべての勢力は、短期的に中国本土の統治を維持する望みがある限り、この「党の団結」という外観を守りたいと考えていた。
しかし、党内の分裂が露呈したことで、社会不安に対する抑制は事実上失われ、名目上の最高指導者である習近平は、民間社会、党内、さらには中国人民解放軍(PLA)内部の不安を抑え込むため、全面的に治安部隊に依存せざるを得なくなった。習近平の身辺警護と国家統制の重責は、公安部とその中核組織である公安局、さらに人民武装警察に委ねられている。
この1年余りの間、PLAに対する実質的な統制は、中央軍事委員会副主席の張又侠上将に移り、張又侠はPLAの要職から習近平の側近人事の多くを排除してきた。
しかし、中国共産党の総書記であり、中央軍事委員会主席でもある習近平は、1月18日ごろまでに政治的な包囲から脱し、主要な対立相手に反撃を加えることが可能になった。
この報復的な動きは、党の結束と平常性を保つ形での水面下の和解を目指したこれまでの試みを覆すものだった。習近平が張又侠や、中央軍事委員会聯合作戦指揮部参謀長の劉振立上将に対して行った「巻き返し」は、2025年10月20日から23日にかけて開かれた第20期党中央委員会第4回全体会議において、習近平の主な対立勢力が決断力を欠いていたことによって可能になった。この会議では、党の結束を装うため、習近平は形式上の職位を維持することを認められた一方、政策決定への関与はほとんど、もしくは全く行わないという前提が置かれていた。
当時、対立勢力は習近平を完全に排除する機会を持っていたが、それを果たさなかった。習近平は、迅速に反撃しなければ自身が失脚することを理解していた。
x第4回全体会議後の11月22日、張又侠はロシアのアンドレイ・ベロウソフ国防相の招待でモスクワを訪問し、習近平側のいかなる当局者よりも高い待遇と接遇を受けた。一部の情報源によると、張又侠がモスクワへ向かう途中、暗殺未遂があったとされる。この出来事により、反習近平派は、習近平が闘争なしに職を手放すことはなく、なお一定の資源を掌握していると認識した。
さらに重要な点として、張又侠はモスクワ訪問後、短期間、公の場から姿を消し、帰国の途中でロシア極東に立ち寄ったと一部で伝えられている。この際、PLA空軍の輸送機は使用されなかったという。
12月13日には、空軍司令官で習近平の腹心とされていた常丁求上将が、江沢民派の手による留置・取調べ(留置制度)中に心臓発作で急死したと発表された。
これを受け、反習近平派は、習近平本人を直接狙えることを示した。常丁求の死から1週間以内、12月17日には、北京第7環状線にあたるG95首都環状高速道路のトンネル内で爆発が発生し、公用車列が標的となった。死者の中には、習近平の「身代わり役」の一人が含まれていたとされ、習近平暗殺の意図、もしくは後退を促す警告だった可能性が示唆された。当局はこの爆発を燃料タンクローリーによる事故として処理した。
これが実際に習近平を狙った攻撃だったのか、単に到達可能であることを示す誇示だったのかは、判然としない。
いずれにせよ、この時点で、習近平派と、張又侠およびPLA派、さらに党長老や改革派との間の抗争は、直接的かつ公然たるものとなった。党の不統一は隠しきれなくなりつつあったが、いずれの勢力も、党の分裂が明白になれば、統治の正統性と権威を急速に失うことを理解していた。
それでも、張又侠は、習近平本人の身柄を確保する計画を立てるだけの自信を持っていたとみられる。
一部の情報源によると、2026年1月、習近平は安全上の理由から、1~2日ごとに居所を変えていたという。その中でも重要な滞在先の一つが、中南海の枠内にある、党幹部専用の京西賓館だった。
張又侠側は、ある夜に習近平が同ホテルに滞在していると判断し、少数の武装要員を派遣して身柄拘束を試みたが、情報はすでに古くなっていた。現場に習近平の姿はなく、代わりに公安部系とみられる大規模な武装部隊が待ち構えていた。張又侠の計画が習近平側に漏れていた可能性が指摘されている。張又侠自身はその場で拘束され、習近平側の圧倒的な兵力に制圧された。劉振立も同様に逮捕され、その後、両将軍の家族も拘束された。
これで一連の事態は、いったん収束するのだろうか。
実際には、張又侠の拘束直後、さらに多数のPLA将校が、准将(上級大佐)級に至るまで拘束された。現在、PLA機構内に残る上級大将は4人のみとされる。問題は、どの将校が習近平によって粛清され、どの将校が張又侠側によって排除されたのかという点であり、混乱と動揺はいまだ収まっていない。
1月25日時点で、党内内戦の行方には大きな不確実性が残っていた。習近平が自らの安全を確保するためには、張又侠派や、中共上層部に属する現職・元政治家に対するさらなる反撃が必要となる。また、習近平が権力を剥奪したことで張又侠側に付いた、有力な「太子党」つまり共産党第一世代指導者の子孫の多くを粛清する必要にも迫られるだろう。
一方で、党の分裂が公然化し、PLAの多くの部隊が習近平を支持しない可能性が浮上したことで、すでに党への怒りを露わにしている貧困層や不満を抱えた国民が、街頭行動をさらに激化させる動機を得る恐れがある。党長老らは、強圧と懐柔を組み合わせることで、党の指導下で生活が改善するという考えを国民に受け入れさせようとしてきたが、その構想はもはや信頼性を失いつつある。
では、習近平が今なお最優先の目標だと主張している台湾(中華民国)との戦争の可能性は、どうなるのか。
第一に、たとえ習近平がPLAの一部を動かすことに成功したとしても、近い将来、台湾への正式な軍事侵攻を遂行できるだけの、一体的で信頼できる指揮統制体制は存在しない。
第二に、核弾頭搭載の弾道ミサイルを使用しない限り、PLAには台湾を制圧できる物資的・技術的能力がない。通常兵力による攻撃は、PLAに壊滅的な損害をもたらし、中共の崩壊をほぼ確実に招く。
第三に、中共政府の一部には、米国がイラン情勢やグリーンランドを巡る問題によるNATOの機能不全に気を取られるとの期待があったが、現時点では現実となっていない。NATOは当面、再び安定している。PLAが台湾を攻撃すれば、日本の部隊が自動的に関与し、それに伴い米国の支援部隊も関与する。また、インド政府は、台湾を巡るPLAの対応によって隙が生じた場合、中国、インド亜大陸、東南アジアの主要河川の水源地であるチベット高原を掌握する用意があることを明確にしている。
中国による台湾攻撃が好結果をもたらすシナリオは存在しない。最終的な問題は、その現実が、習近平にとっての「歴史的使命」を思いとどまらせる要因となるかどうかである。
短期的には、習近平とその最側近である蔡奇が、一時的な猶予を得た可能性がある。張又侠と劉振立が早期に殺害される可能性も否定できない。しかし、中共の支配を奪還することが、習近平にとって、損害が大きく、得るものが少ないピュロスの勝利に終わる可能性は高い。党を取り戻し、中国本土の統制を一時的に回復できたとしても、党と国家経済はいずれも、制御不能な崩壊へと向かっている。

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