「信じられない実態だ。だから何を焼いても焦げるわけだ」。
中国製エアフライヤーを分解した消費者は、憤慨した。
原因は使い方でもレシピでもない。本来、温度を調節するはずの「温度つまみ」そのものが、初めから機能していなかったのである。しかも、それは無名メーカーの製品ではなかった。
中国で販売されている一部のエアフライヤーで、温度調節用として設けられていたつまみが、実際には内部の温度制御装置と接続しておらず、単なる飾りにすぎなかったことが明らかになった。この事実が広まると、消費者の間に衝撃と不信が一気に広がった。
発端は、利用者が自宅のエアフライヤーを分解し、その内部構造を公開したことだった。つまみの下には温度を制御する部品が一切存在せず、つまみを回しても加熱温度は変化しない構造であったという。「だから何を焼いても焦げるわけだ」という声が相次いだのも無理はない。
問題の製品は、「栄事達(Rongshida)」ブランドのダイヤル式エアフライヤーである。同社は、中国で洗濯機や冷蔵庫、小型調理家電などを長年手がけてきたメーカーであり、激安の無名企業ではない。「価格は安いが、一応メーカー品」という認識で選ばれてきた存在である。
製品の外観には、約60度から180度までの温度目盛りが細かく表示され、エビ、サツマイモ、鶏手羽、エッグタルトなど料理ごとの目安温度まで丁寧に記されていた。しかし販売店に問い合わせたところ、「温度は調節できない」と説明され、理由を尋ねると「飾りとして付けている」との回答であった。
その後の調査で、「志高(Chigo)」や「容聲(Rongsheng)」など、100元(約2000円)以下の低価格モデルでも、温度が固定されたままの製品が複数存在することが分かった。
ネット上では、「本当に信用できる製品はあるのか」「レシピ通りに作って失敗するのは腕の問題ではなかった」といった声が相次いでいる。
四川省の弁護士は、「温度調節ができないにもかかわらず、あたかもできるかのように表示して販売する行為は、消費者の知る権利を侵害し、虚偽表示や詐欺に該当する可能性がある」と指摘する。
外観は立派でも、実際の機能は伴っていなかった。しかもそれが、一定の知名度を持つメーカーの商品であったという事実は、中国の家電市場全体への信頼をさらに揺るがせている。
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