中国の駐大阪総領事・薛剣(せつけん)が2月10日、大阪総領事館が開催した旧正月を祝う行事に出席し、約3カ月ぶりに公の場へ姿を見せた。昨年11月、高市早苗首相の台湾有事を巡る答弁に対し、SNSで「その汚い首を斬ってやる」と投稿し、激しい批判を浴びた人物である。この暴言以降、世論の反発を避けるように交流活動を控えていた薛だが、今回の再登場は単なる活動再開ではない。そこには、日本に対する高度な戦略的意図が透けて見える。
行事には領事管轄区域の華僑・華人、中国系企業の駐在員、留学生の代表ら約100名が来館し出席した。薛は行事で「中国の立場に揺らぎはない」と強調し、日本政府に「実際の行動で政治的基盤を守るよう」求めた。これは単なる外交辞令ではない。中国が展開する「三戦(世論戦、心理戦、法律戦)」に基づく、巧妙な圧力と捉えるべきだ。
巧妙に仕組まれた「心理戦」と「ナラティブ」
薛が求める「実際の行動」とは、中日関係悪化の責任を日本側に転嫁し、日本の防衛力強化や台湾との連携に対して日本側に「自己検閲」を促す心理戦の一環にほかならない。友好ムードを装いながら、「関係改善の鍵は日本側の譲歩にある」という認識を植え付け、国内の対中強硬論を牽制する狙いがある。
浸透する「世論戦」の基盤
さらに注視すべきは、行事の中で、華僑団体「西日本中国両岸和平統一促進会」に公的な発言の場が与えられた点だ。これは、日本国内において中国共産党の政治的ナラティブを支持するネットワークを可視化し、強化する動きである。
この動きは、将来的な台湾有事や沖縄の帰属問題を巡る世論戦・法律戦の布石とも言える。総領事の過去の過激な言動と、こうした統一促進団体の公認が組み合わさることで、日本国内で「琉球帰属未定論」を間接的に正当化する土壌が着々と耕されていることに、我々は強い警鐘を鳴らさなければならない。
文化を隠れ蓑にしたプロパガンダ
また、行事で披露されたウイグル族のダンスも、単なる文化交流と受け取るのは早計だ。新疆ウイグル自治区における人権問題への国際的批判を「文化の多様性」という名目で打ち消し、実態を覆い隠すためのプロパガンダ(世論戦)として利用している側面が強い。
表面的な「友好」に潜む危機
沈黙を破った総領事の言動は、文化交流の皮を被った高度な政治工作であると断じるべきだ。日本側は、表面的な友好ムードに流されることなく、その裏にある戦略的意図――地方自治体の切り崩しや沖縄の主権への挑戦――を冷静に見極め、毅然とした態度で臨む必要がある。
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