中国共産党(中共)の政局が混乱し、各界が動向を注視している。中央軍事委員会副主席の張又侠、軍委委員の劉振立が拘束された事件の前後、北京衛戍(えいじゅ)区や上海警備区など省級軍区の主要ポストで人事異動が相次いだ。
専門家の間では、張又侠と劉振立に対する調査開始を契機に、北京政界が前例のない政治的混戦に突入したとの見方が広がっている。関係筋によれば、習近平も強い不安に包まれているとされ、馬年は党内抗争が一段と激化する年になるとの観測が浮上している。
上海市司法局の公式サイトによると、2月12日、中国の旧正月前に同局の上海市司法局党委書記・局長の顧全と上海市司法局副局長・監獄管理局党委書記の王東晟らが武警上海総隊を慰問し、孟祥錫少将が接待した。孟祥錫が武警上海総隊司令として公式に確認されたのはこれが初めてである。
上海警備区でも司令が交代した。1月14日、張占礼少将が上海警備区党委第14期第6回全体会議を主宰し、同区司令官として初めて公の場に姿を現した。
張又侠事件の直前には、武警上海総隊の前司令・陳源少将が北京衛戍区へ異動していた。中共北京市委員会の機関紙「北京日報」は、陳源が「北京衛戍区指導者」として1月14日の党委全体会議に出席したと報じた。具体的な職務は明らかにしていないが、慣例から北京衛戍区司令に就任した可能性が高いとみられる。
さらに今年1月中旬には安徽、山西、陝西、海南、吉林、四川の各省軍区でも党委会議が開かれ、新任の軍政幹部が相次いで登場した。安徽省軍区政委の王金良、山西省軍区司令員の陳軍棟、陝西省軍区司令員の張文忠、海南省軍区司令員の丁勁松、吉林省軍区政委の王青雲、四川省軍区司令員の柳森らである。
複数の評論は、張又侠の拘束に先立ち、習近平が北京衛戍区を信頼できる人物で固めたと指摘する。北京衛戍区司令の後任人事は、軍内部の権力闘争の行方を示す重要な指標とされる。
2月10日、習近平は北京の軍の施設「八一大楼」から動画で部隊を慰問した。例年は現地訪問を行っていたが、今年は直接部隊を訪れなかった。専門家は、張又侠・劉振立事件後の極度の警戒と恐怖の表れとみており、異例のシグナルと受け止めている。
13日には「中央指導部が老同志を慰問」とする党メディア報道があり、多数の名前を列挙し「習を核心として支持」と強調した。これに対し、内モンゴル自治区の元官僚・杜文はX上で、正式な会議や決議もないのに多数の支持が示されるのは不自然だと皮肉った。
14日、政治局常務委員は例年通り旧正月前の合同祝賀会(団拝会)に出席。官製メディアの映像では、入場時こそ笑顔を装ったものの、着席後はほぼ無表情で、他の幹部も互いに顔を見合わせ、祝賀ムードは見られなかった。
時事評論員の鍾原氏は15日、張又侠・劉振立の拘束といった強硬措置が党内の不文律を破り、内部の分裂を一層深めたと分析した。習近平は政治的対抗勢力の反撃や報復を恐れていると考えられ、党内は対立や膠着、緊張状態が続いていると指摘する。
習近平は軍の再掌握を誇示するどころか、恐怖や譲歩から軍視察を避けているように見えるとの見方もある。
軍は張・劉に対する拘束を必ずしも受け入れておらず、習近平への忠誠の表明も十分ではない可能性がある。北京の政治的混戦はなお続き、高官たちは緊張状態に置かれている。馬年は中共にとって内紛が激化する年となるとの見方が強まっている。
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