今はちょうど中国の旧正月の時期にあたる。
毎年この季節になると、中国のSNSではあるテーマが必ず話題になる。
「親からの結婚催促、どうかわす?」
対処法を紹介する動画が次々と投稿され、どれも多くの再生数を集めている。コント風のものから実演形式、真面目な解説まで、バリエーションも豊富である。それだけ多くの人が同じことで頭を悩ませている、ということだ。
久しぶりに家族と顔を合わせる。
楽しいはずの時間に、なぜか始まるあの質問。
「恋人は?」
「いつ結婚?」
「子供は?」
親の心配はありがたい。
だが、正直なところ少し重たい。
この悩みは実は世界共通である。家族が集まるたびに、若者は同じ圧にさらされる。
中には、親や親戚の追及をかわすために「レンタル彼氏」「レンタル彼女」などのサービスを利用する人までいる。そこまでしなければならないほど、プレッシャーが強いということだ。
だが、本当にそこまでする必要はあるのだろうか。
台湾の厚生当局系の公立総合病院「台中医院」に勤める精神科医・章秉純氏は、相手との関係の深さに応じて対応を変えることが重要だと具体的に助言している。
まず、あまり親しくない親戚や、深い話をする間柄ではない相手に対しては、真正面から受け止めないことが大切だという。結婚の話題を振られた場合は、政治や時事ニュース、健康、運動など別の話題に自然に切り替える。相手が語りたくなるテーマにうまく誘導すれば、追及は弱まる。争わずに受け流す。それだけで場の空気は軽くなる。
一方で、親や近しい家族には、単に話題をそらすだけでなく、自分の考えを静かに伝える方がよい。
「心配してくれているのは分かっているよ。でも今はまだ、自分のペースで考えたいと思っている」と感謝を伝えたうえで、自分の立場を明確にする。怒らず、言い訳せず、説明しすぎないことが肝心である。
このようにはっきりと言葉にすることで、「ここから先は踏み込まないでほしい」という意思が自然に伝わる。
さらに関係がしっかりしている場合は、催促を逆に対話へと変える方法もある。
「お母さんはどうしてその時に結婚しようと思ったの?」
「今振り返って、どう感じている?」
問い返すことで、攻撃のようだった会話が人生観の共有へと変わることがある。これは単なる回避ではなく、関係を深める選択である。
そして、カッとなりそうなときは一秒だけ止まる。
この日は争う日ではなく、集まる日である。
どうしても困ったときに使える万能フレーズがある。
「なるほどね。そういう考え方もあるね。少し考えてみるよ」
全面的に受け入れず、正面衝突も避ける。自分を守りながら、その場を荒らさないための一言である。
親の愛とプレッシャーは世界共通である。
必要なのは特別な技ではない。相手との距離に合わせて言葉を選ぶ冷静さと、ほんの少しの余裕である。
あの質問は、きっとまたやってくる。
だからこそ、肩の力を抜いて、うまく受け流せばよいのだ。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。