令和8年2月20日、高市総理大臣は衆議院本会議において施政方針演説を行い、新内閣の政策方針を表明した。高市首相は、日本の総合的な国力(外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、人材力)を徹底的に強くするため、これまでの政策のあり方を根本的に転換すると宣言した。その柱となるのは「責任ある積極財政」であり、「成長のスイッチを押して押して押して押して、押しまくってまいります」と力強くアピールした。
経済・財政政策:予算編成の抜本改革と消費税0%の検討
日本経済において圧倒的に足りないのは資本投入量(国内投資)であると指摘し、経済・食料・エネルギー安全保障などの「危機管理投資」と、AIや半導体などの先端技術を開花させる「成長投資」を促進する方針を示した。また、毎年の補正予算を前提とした予算編成と決別し、必要な予算は可能な限り当初予算で措置するという、約2年がかりの予算編成大改革を進める。
国民の所得向上と負担軽減に向けた具体策も打ち出された。いわゆる「103万円の壁」については、働き控えの解消と手取り増加の観点から「178万円」に引き上げる。さらに、軽減税率が適用されている飲食料について、2年間に限り消費税を「0%」とするための検討を加速させ、夏前の中間取りまとめと関連法案の早期提出を目指すとした。
防災・経済安全保障:「防災庁」設立と「日本版CFIUS」創設
激甚化する自然災害に対応するため、本年中に「防災庁」を設立する法案を提出し、あわせて地方機関である「防災局」も設置する。事前防災やインフラの予防保全を徹底し、首都機能のバックアップ体制構築に向けた検討も急ぐとした。
経済安全保障の面では、特定国に依存しないサプライチェーンの再構築を図るとともに、対内直接投資に対する審査の実効性を高めるため「日本版CFIUS(対日外国投資審査委員会)」を創設する。エネルギー分野では、安全性が確認された原子力発電所の再稼働加速や次世代革新炉の開発を進める一方で、太陽光発電については環境アセスメントなどの規制を強化する方針を示した。南鳥島周辺海域におけるレアアース資源の開発も急ぐ構えだ。
外交・防衛:安保3文書の前倒し改定と「航空宇宙自衛隊」への改称
外交では日米同盟を基軸とし、可能であれば3月に訪米してトランプ大統領との信頼関係を強化する意向を示した。また、韓国の李大統領との関係強化、中国との冷静かつ適切な対応、北朝鮮のキム委員長との首脳会談を通じた拉致問題の任期中解決への強い決意を語った。
安全保障環境の急激な変化に対応するため、本年中に国家安全保障戦略などの「安保3文書」を前倒しで改定する。さらに、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称するとともに、「宇宙作戦集団」を新たに編成する。防衛装備移転三原則のいわゆる「5類型」の見直しに向けた検討も加速させる。インテリジェンス機能の強化策として、内閣に「国家情報会議」を設置し、内閣情報調査室を「国家情報局」へと格上げすることも明らかにした。
社会・教育・その他の施策
人材育成の観点から、いわゆる「教育無償化」を本年4月から実施することを目指す。また、不法滞在ゼロプランを推進し、短期滞在の外国人に対して電子渡航認証制度(JESTA)を創設する法案を提出する。治安対策としては、携帯通信契約時の本人確認義務の範囲を拡大し、いわゆる「トクリュウ」の撲滅を目指す。
2026年は昭和元年から起算して100年となる節目であることから、4月29日に「昭和100年記念式典」を挙行すると発表した。演説の最後には、憲法審査会における議論の加速と早期の発議に期待を寄せ、「未来への挑戦を共に進めてまいりましょう」と呼びかけた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。