米関税変動でリスク回避強まる 金価格上昇

2026/02/23
更新: 2026/02/23

米関税政策に大きな変動が生じる中、2月23日のアジア太平洋株式市場は総じて上昇した。一方、ドルは下落し、資金は安全資産の金に向かった。韓国と台湾の株式市場は半導体株にけん引され、いずれも過去最高値を更新した。

先週、米最高裁はトランプ大統領が「国際緊急経済権限法」(IEEPA)に基づき構築した関税枠組みについて権限を認めないと判断した。これを受け、トランプ氏は直ちに通商法122条に基づき、世界を対象に15%の臨時関税を課すると発表した。

新たな税率が特定の国に対する免除を含むかどうかは現時点で不明で、投資家は米政府からのより明確な説明を待っている。従来の関税枠組みでは、イギリスやオーストラリアなど一部の国に10%の税率が適用されていた一方、アジアの多くの国ではより高い税率が課されていた。

一方、2月25日には半導体大手エヌビディアが決算を発表する予定で、市場のAIへの期待が試される。

さらに2月26日にはアメリカとイランがジュネーブで新たな協議を行う予定で、原油価格は一時的に下落しているものの、合意に至らなければ軍事衝突に発展するリスクは依然として残っている。

韓国と台湾の株価は取引時間中に再び最高値を更新した。政策の不透明感がある中でも、アジア市場は週明けも堅調に推移した。韓国総合株価指数(KOSPI)は3営業日続伸し、取引開始後に1.7%上昇して過去最高値を更新した。主力のSKハイニックスとサムスン電子はそれぞれ3%超、2%超上昇した。

オーストラリアのS&P/ASX200指数は取引序盤に0.17%上昇した。台湾株式市場も取引開始後に上昇し、一時3万4212.38ポイントまで上昇して過去最高値を更新した。香港のハンセン指数も2%超上昇し、2万7095.32ポイントまで上げた。中国と日本の市場は祝日のため休場となった。

関税政策の変動は市場の懸念を高めている。オーストラリア国民銀行のロドリゴ・カトリル上級為替ストラテジストはロイターに対し、「関税の見通しはこれまで以上に不透明になっており、不確実性はどの経済や市場にとっても好ましくない」と指摘した。

さらに「合理的な対応に戻らなければ、『新関税を発表し、撤回し、再び発表する』という循環に陥る可能性がある」と警告した。

市場では、仮に裁判所の判断により米政府が約1700億ドル(約26兆3500億円)の税収を返還する必要が生じれば、財政赤字の対GDP比は6.6%まで拡大する可能性があるとの見方も出ている。

為替市場では、貿易政策の混乱を背景にここ数か月続くアメリカ資産売りの流れが強まり、ドルは下落した。ドルは対円で0.4%下落し154.36円、ユーロやスイスフランに対しても約0.4~0.5%下落した。

安全資産需要の高まりを受け、金価格は1.16%上昇し1オンス5167ドル(約80万円)となった。エネルギー市場では、ジュネーブでの米イラン協議を控え様子見姿勢が広がり、ブレント原油は0.6%安の1バレル71.29ドル(約1万1千円)となった。

米株先物は週明け序盤に小幅下落し、S&P500先物は0.3%下落した。市場はエヌビディアの決算発表を前に様子見姿勢を強めている。

市場予想では、エヌビディアの1株利益は71%増となる見込みで、この決算は世界のAI投資の勢いを測る重要な試金石とみられている。

今後の見通しについて、専門家は関税政策が依然としてトランプ政権の中核戦略だと指摘する。

リスタッド・エナジーのクラウディオ・ガリンベルティ首席エコノミストは報告書で、「最高裁の判断は多くの既存関税を無効とし、単一国への適用能力を弱めたものの、関税政策全体の枠組みを取り除いたわけではない」と述べた。

さらに、免除措置がなければ新たな平均関税率は、無効とされた従来の水準を上回る可能性もあると指摘した。

陳霆