米国連邦下院(U.S. House of Representatives)は、現代において最も忌まわしい人権犯罪の一つである、中国共産党(中共)政権が主導する臓器収奪に対し、超党派で一致して反対する姿勢を明確に示した。
2025年5月、米下院は「法輪功保護法案(Falun Gong Protection Act)」を可決した。これは、「いかなる政府も、利益のために良心の囚人を殺害する権利はない」という、単純ながらも深い道徳的真理を確認するものである。これと対をなす上院における法案(コンパニオン・ビル)「S.817」は、テッド・クルーズ連邦上院議員(共和党、テキサス州)によって提出され、8人の上院議員が共同提案者に名を連ねている。現在は上院外交委員会(Senate Foreign Relations Committee)での審議を待っている状態である。
法案の審議を遅延させることは事実上の黙認を意味する。上院は行動を起こさねばならない。
法輪功(別名:法輪大法)は、「真・善・忍」を指導原則とする、古来の平和的な仏家修練法である。1990年代末には、数千万人の中国市民が公然と法輪功を修練していた。しかし1999年、中共政権はこの平和的な集団を国家の敵と規定し、全国的な法輪功根絶運動を開始した。それ以来、法輪功学習者は正当な法的手続きを経ない拘束、拷問、投獄、そして強制失踪にさらされてきた。彼らが中国共産党(中共)政権から迫害を受けているのは、犯罪を犯したからではなく、彼らの良心と信仰のためである。
多くの独立調査が、中共の臓器収奪システムにおいて、法輪功学習者が最大の犠牲者となっていると結論づけている。その理由は、背筋が凍るほど現実的である。法輪功学習者は、人数が多いにもかかわらず非暴力を貫く集団であるがゆえに、組織的な誹謗中傷(悪魔化)の標的となり、法による保護を完全に剥奪された。言い換えれば、彼らは抵抗する術を持たない無防備な状態に追い込まれたのである。これは単なる暴走した迫害ではなく、臓器収奪を目的として綿密に計画された「国家による犯罪」に他ならない。
臓器収奪は、単なる根拠のない告発や政治的な対立などではなく、人道全体に対する明白な犯罪である。良心の囚人たちは医学的検査を強制されるが、それは命を救うためではなく、死の準備のためである。彼らはオンデマンドで殺害され、心臓、肝臓、腎臓、角膜などの臓器が利益のために売買されている。このような行為は、医学倫理、人間の尊厳、そして法の手続きを支えるあらゆる原則を破壊するものである。医師を死刑執行人に、病院を屠殺場に変える体系は、制度として腐敗しているだけでなく、道徳的に破綻している。
中共によるこれらの暴挙の証拠は確固たるものだ。長年にわたり、信頼できる非政府組織(NGO)、調査ジャーナリスト、独立した研究者たちがこの惨状を記録してきた。2019年、元セルビア独裁者スロボダン・ミロシェビッチを訴追した英国のジェフリー・ナイス卿(Sir Geoffrey Nice KC)が議長を務める「中国法廷(China Tribunal:ロンドンに拠点を置く独立民衆法廷)」は、「臓器収奪は中国各地で長年大規模に継続されており、法輪功学習者はその臓器源の一つ、あるいは主要な供給源である」と全会一致で認定した。法廷は、これが「人道に対する罪」に該当すると裁定した。
世界各国の立法機関もこの問題に注目している。米国議会は公聴会を開き、中共の臓器収奪を非難する決議を採択した。欧州議会も同様の行動をとっている。これらの動きは、「この犯罪は実在し、現在も進行中であり、決して容認できない」という国際的な合意が高まっていることを反映している。「法輪功保護法案」の可決は、単なる言葉による非難を超え、国際的な合意を「実行」へと移すものである。これは、加害者に具体的な制裁を科して責任を追及するものであり、「罪を犯しても逃げ切れる時代」の終焉を告げるものである。
しかし、中共の臓器収奪が大規模かつ証拠明白であるにもかかわらず、あまりにも多くの指導者や機関が沈黙を選択してきた。一部の主流メディアでさえ、腰が引けている。元ニューヨーク・タイムズ北京特派員のディディ・カーステン・タトロウ(Didi Kirsten Tatlow)氏は、中国法廷での証言において、妨害を受けたために臓器収奪の調査を継続できなかった経験を語った。彼女の証言は、独裁政権の暴挙を前にした際、人々がいかに自ら口を閉ざしてしまう(自己検閲)か、そして政治的・経済的な圧力が、いかに真実を歪めてしまうかという深い危惧を抱かせるものである。
歴史による審判は明白である。暴挙が持続するのは、それが隠蔽されているからではなく、無視されているからだ。最も長く残る不名誉は、加害者だけでなく、事実を知りながら傍観することを選んだ者たちも負うことになる。命が組織的に破壊されているとき、沈黙は慎重さではなく、道徳の失墜である。
「法輪功保護法案」は、イデオロギーや地政学の問題ではない。人間として越えてはならない一線を画すためのものである。「人間は決して国家の臓器供給源になってはならない」という一線だ。臓器収奪は生命の神聖さを踏みにじるものであり、現代医学と国際秩序の倫理的基盤に対する直接的な挑戦である。
米国連邦上院は今、道徳的なリーダーシップの試練に直面している。この法案を速やかに可決することは、犠牲者、加害者、そして全世界に対し、「いかなる政治的圧力や経済的損失があろうとも、米国は人道に対する罪を見て見ぬふりはしない」という明確なメッセージを送ることになる。
沈黙は暴挙を助長し、行動は人間性を象徴する。米上院は「法輪功保護法案」を可決するための措置を講じるべきであり、その行動に一刻の猶予もない。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。