トランプ政権のイラン大規模空爆が中国共産党(中共)に与えた心理的衝撃を分析。ベネズエラ拘束に続き、反米同盟を次々崩す大戦略で中共孤立化へ。
2月28日、アメリカとイスラエルは共同で、イランに対する大規模攻撃作戦を実施した。トランプ大統領は声明を発表し、「この行動はきわめて単純なメッセージを伝えるものだ——イランは決して核兵器を保有してはならない」と強調した。さらにイラン国民に向けて、「あなたたちが自由を手にする時は近づいている」「これはおそらく、あなたたちの何世代にも一度しか訪れない機会だ」と呼びかけた。
「アメリカは圧倒的な力と破壊的な打撃によってあなたたちを支援する。今こそ自らの運命をつかみ、手の届く繁栄に満ちた輝かしい未来を切り開く時だ。行動をためらうな、好機を逃すな」と訴え、「われわれが任務を遂行した後、あなたたちが自らの政府を掌握することになるだろう」と語った。
同日、ベッセント米財務長官はSNS「X」への投稿で、「米財務省は、トランプ大統領の『最大限の圧力』政策へのコミットメントを改めて確認する。イランから流出するあらゆる不正資金を追跡し、イラン国民のためにそれらの資金を取り戻す」と述べた。
それに先立つ2月5日、ベッセント氏は米上院の公聴会で、「イランの指導層が狂ったように資金を海外へ移しているのを確認した」と証言し、「これは『ネズミが沈む船から逃げ出している』という兆候であり、イラン指導部の『終末が近い』ことを示す良いサインだ」と述べた。
このことからも分かるとおり、今回のアメリカによる軍事行動は過去の同様の作戦とは決定的に異なっており、その目的はイランのイスラム政権に対する体制転換を促すことにある。言うまでもなく、これこそ中共が最も恐れていることである。
イラン攻撃に至る経緯と決断
もちろん、トランプ氏がこの一歩を踏み出すのは容易な決断ではなかった。今年の1月3日、米軍は電撃的にベネズエラ大統領マドゥロを拘束し、世界を震撼させた。当時、イランでは新たな大規模抗議運動が発生しており、当局は血の弾圧に乗り出し、インターネットを遮断、死傷者は数万人に上った。
多くの人々が米軍の即時出兵を望んだが、トランプ氏はそれを選ばず、代わりにイランとの交渉を模索しつつ米軍を集結させて圧力を加えた。この姿勢は、やむを得ない場合を除き、外交による解決を優先するトランプ氏の傾向をよく表している(彼は自らを「平和の大統領」として歴史に刻むことを望んでいる)。
一方、イランへの軍事攻撃に踏み切れば、イラク戦争の悪夢が再現され、アメリカが再び泥沼にはまり込むのではないかとの懸念も根強く存在した。こうした議論はトランプ政権内部でも交わされていた。ホワイトハウス内では、イランとの対立はマドゥロ拘束よりもはるかに難しいとの見方が支配的であり、同時にイランとの交渉が成果を上げる可能性については悲観的な見方が強かった。
2月26日、J.D.ヴァンス米副大統領は『ワシントン・ポスト』の取材に対し、「われわれが終わりの見えない中東戦争に巻き込まれるという見方があるが、そんなことは決して起こらない」と自信を示した。さらに「過去の過ちを繰り返してはならないと考えているが、同時に過去の教訓に過剰反応するべきでもない。ある大統領が一度軍事衝突で失敗したからといって、今後永遠に軍事行動に関わることができないという意味ではない。われわれは慎重であるべきだが、トランプ大統領はすでに十分慎重に行動している」と語った。
転機が訪れたのは2月27日である。前日の26日にジュネーブで行われた米・イラン協議は合意に至らず決裂した。27日、トランプ氏はホワイトハウスを出る際、取材陣の質問に応じ、イランがアメリカの要求どおり核兵器を放棄しなかったことに不満を示した。
武力行使の可能性を問われると、トランプ氏は「できれば武力は使いたくないが、時には使わざるを得ない」と述べた。続けて、イラン攻撃が中東に長期的な紛争をもたらすとの懸念について問われると、「そう言ってよいだろう。常にリスクはある」と答え、「イランを攻撃するかどうかについて、まだ最終決定は下していない。きょうの遅い時間に協議を行う予定だ。追加の協議も行う」と語った。
その「結果を見てのお楽しみ」が、翌日に実行されたアメリカ・イスラエルによる大規模なイラン攻撃であった。
トランプ氏の対中大戦略全貌
トランプ氏がこの一線を越えたことは、中共にとって想像を絶するほどの心理的衝撃となった。中共は自らの政権が「合法性を欠く」ことをよく理解しており、どの国とも国交を樹立する際に「中国唯一の合法政府」との承認を強く求めてきた。しかし、トランプ氏は第1期政権の時点でアメリカの対中政策を根本的に転換させ、2020年には中共との間で「新冷戦」に突入し、米中対立のイデオロギー的性格を世界の前に明確に示した。
再びホワイトハウスに戻ったトランプ政権は、少なくとも二つの取り組み——CIAによる中共軍・官僚層への異例の公開「リクルート活動」、そして国務省が進めるインターネット封鎖打破プラットフォーム構築計画——を通じて、中共政権の安定と正統性を公然と揺さぶっている。これにより中共内部では、「レーガン政権がソ連崩壊を促した戦略を、トランプ政権が自分たちに対して再現しようとしているのではないか」との疑念が強まっている。
周知のとおり、東欧革命以降、現在も共産党体制を維持している国は、中国・北朝鮮・キューバ・ベトナムの4か国のみである。中共はロシア、イラン、ベネズエラなどを取り込み、米国と対抗する「反米同盟」を、辛うじて維持してきた。
しかし、今回のトランプ政権による緻密な戦略と鋭い攻勢によって、中共が苦心して築き上げたこの陣営は、次々と崩れつつある。まず、アメリカはロシア・ウクライナ戦争の停戦を積極的に仲介し、米中露関係の三角構造を再形成しつつあり、中露間の距離は拡大している。
次に、マドゥロを拘束することでベネズエラ情勢を一変させた。
第3に、キューバに対する圧力で前向きな成果を挙げており、将来的な変化が期待される(2月27日、トランプ氏は「将来的にキューバを友好的に引き受ける可能性」にも言及した)。
第4に、ベトナムを取り込みつつあり、同国も急速にアメリカ寄りの姿勢を見せている。2月20日にはトップのトー・ラム書記長が就任後初の外遊先としてワシントンを選び、2月14日にはイーロン・マスク氏の「スターリンク」に運営許可を与え、国内設置を承認した。
残るは北朝鮮のみだが、トランプ政権はまだ本格対応に至っておらず、一方で中朝関係にも亀裂が生じており、決して強固な同盟とは言い難い。
こうした視点から見るならば、トランプ氏によるイラン空爆と政権転覆の促進は、単独の軍事行動ではなく、大戦略の一環にほかならない。すなわち、中共の「似た者同士」とも言える同盟国を一つずつ切り崩し、中共を国際社会の中で孤立させる狙いがあるのである。
これこそが、トランプ氏によるイランへの軍事攻撃が中共に与えた最大の衝撃である。
では、中共は何ができるのか。実際には、「強い懸念を表明」し、「即時の軍事行動停止」と「緊張のさらなる悪化を回避するよう呼びかける」以外に手立てがない。
まさに、「なすすべもなく花は散る」(北宋の詩人・晏殊)という状況である。
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