東京高裁(三木素子裁判長)は3月4日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求を巡る即時抗告審で、教団に解散を命じた東京地裁の決定を支持し、教団側の即時抗告を棄却した。
これにより解散命令の効力が生じ、教団は宗教法人格を失い、裁判所が選任する清算人による財産の清算手続きが開始されることになった。今後は裁判所が選任した清算人が教団の資産や債務を整理し、財産の処分などを進める手続きに入る。
解散命令は不当とする教団側
教団側はこれまで、解散命令は不当であると主張してきた。教団は2009年に法令順守を掲げた「コンプライアンス宣言」を出して以降、献金を巡る被害は減少していると説明している。また、昨秋以降に元信者らと計39億円超を支払う調停を成立させたほか、外部弁護士らによる補償委員会を設立して被害者対応に取り組んでおり、献金被害が再発する恐れはないと反論してきた。
さらに教団は、東京地裁が認定した約204億円の被害額のうち、約186億円分を占める和解や示談を含めて算定した点について『不法行為の水増しだ』と批判し、具体的な事実の裏付けがない推測に基づく判断だと主張していた
解散命令に国連専門家から懸念
この解散命令を巡っては2025年10月1日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の4人の国連専門家が東京地裁の決定に懸念を表明している。
専門家らは、解散命令が国際法に違反する可能性があると警告し、判断の根拠とされた「公共の福祉に対する重大な害悪」という基準についても問題を指摘した。
また国連の国際人権委員会が以前から指摘しているように「公共の福祉」という概念は曖昧で無限定になりやすく、この概念を理由に信教の自由を制限することは、自由権規約(ICCPR)が認める範囲を超える恐れがあるとしている。
また、教育現場などで特定の宗教を特別視することが、信者に対するスティグマ化(レッテル貼り)を招き、差別につながる可能性についても懸念が示された。
今回の高裁決定について教団は、「事実と証拠に裏付けられずに下された『結論ありき』の不当な判断だ」として強く反発している。また、法人解散によってこれまで進めてきた被害を訴える人々への補償が継続できなくなるのは非常に残念だとの見解も示した。
特別抗告へ
教団は今後、最高裁に特別抗告する方針を明らかにし「不当な司法判断を決して容認せず、信教の自由を守るため闘い続ける」とのコメントを発表した。ただし、特別抗告には執行停止の効力がないため、最高裁で判断が覆らない限り、清算手続きは進められる見通しである。
これまで宗教法人の解散命令は、刑事事件を伴う重大な違法行為が前提となる例が多かった。民事上の被害認定を主な根拠とした今回の判断について、教団側は「結論ありきの不当な判断だ」と主張しており、信教の自由との関係を含め、司法判断の妥当性を巡る議論が続く可能性がある。
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