3月18日、カタール政府は、同国の主要な天然ガス施設であるラス・ラファンがイランのミサイル攻撃を受け、「甚大な被害」が発生したと発表した。これを受け、カタールはイラン大使館の外交官を追放した。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)も、イランによる近隣国への攻撃を強く非難している。
ラス・ラファン工業都市は、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出拠点として知られる。国営エネルギー企業カタールエナジーによると、緊急対応チームが現地で消火活動に当たり、火災はおおむね制御された。これまでに死傷者は確認していない。
カタール内務省も、火勢はすでに抑えられており、人的被害は出ていないと発表した。
今回の攻撃に先立ち、イスラエルはイラン国内の天然ガス関連施設を空爆していた。これに対し、イラン革命防衛隊はカタールやサウジアラビア、UAEのエネルギー施設への攻撃を警告していた。
カタール外務省は声明で、「今回の攻撃は危険なエスカレーションであり、主権への明白な侵害であるとともに、国家安全保障への直接的な脅威だ」と強く非難した。
また同省は、イラン大使館の軍事・安全担当者らを国外退去処分とし、24時間以内の出国を求めたと発表した。イランによる度重なる攻撃を受けての対応としている。
カタールは、イランの行動について「地域を崩壊の瀬戸際に追い込み、関係のない国々を紛争に巻き込んでいる」と批判した。
カタールは世界第2位のLNG輸出国である。ラス・ラファンは世界最大級の生産拠点で、世界のLNG供給の約20%を担い、アジアやヨーロッパのエネルギー需給に大きな影響を与えている。
サウジアラビアが首都リヤドで外相会議を開き、紛争の収束に向けた協議を進めようとしていた中で、今回の攻撃が発生した。
サウジ国防省は18日、防空システムが首都リヤドに向けて発射した弾道ミサイル4発と、東部地域に向けた2発を迎撃したと発表した。
サウジのファイサル・ビン・ファルハーン外相は、イランの攻撃について「残されていた信頼を破壊し、対話を拒むものであり、湾岸諸国の決意を見誤っている」と非難し、「必要なあらゆる措置を取る」と述べた。翌日も「必要な場合には軍事行動を取る権利を留保する」と改めて強調した。
UAE国防省は、防空システムがイランから発射された弾道ミサイル13発と無人機27機を迎撃したと発表した。迎撃したミサイルの破片がハブシャンの天然ガス施設に落下し、一部設備に影響が出たため、操業は一時停止している。
また、バブ油田も攻撃を受けたが、現時点で死傷者は確認していない。
UAE外務省は、「今回の攻撃は危険なエスカレーションであり、国際法に違反する」と非難したうえで、主権と安全を守るため必要な措置は保留すると表明した。
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