米軍がイラン船舶「トゥスカ」を拿捕 中国港湾経由の航路が浮上 何が積載されていたのか?

2026/04/21
更新: 2026/04/21

先週末、イラン国旗を掲げた貨物船がオマーン湾で米軍に拿捕された。同船はイランへ向かう前に中国の港湾に寄港しており、イランへの補給航路が明るみに出た。米当局は船内に軍民両用とみられる物資が積まれていないか調査している。

海事安全筋は21日、ロイターに対し、イラン国旗を掲げたコンテナ船「トゥスカ(Touska)」が4月20日に米軍に乗り込まれ拿捕されたと述べた。船内には米側が軍民両用と判断する物品が積載されている可能性があるという。

この小型コンテナ船は、米国の制裁対象となっているイラン・イスラム共和国海運(IRISL)グループ傘下の船舶で、船舶追跡プラットフォーム「マリン・トラフィック」のデータによると、同船は4月20日、オマーン湾のイラン・チャバハル港近海で米軍に拿捕された。

船舶データによると、トゥスカは東南アジアを経由してイランへ向かう前、中国・珠海の港湾に複数回寄港していた。アナリストらは、この航路がイランにとって米国制裁下での貿易維持を助けていると分析している。

イラン国営メディアも21日、同船が中国を出発したとするイラン軍の声明を確認した。

ロイターによると、匿名の安全当局筋は、予備的な評価として同船が軍民両用物品を積んでいる可能性があると述べた。うち1人の消息筋は、同船が以前にも軍民両用物品を輸送した実績があると明かした。

トゥスカの航路

トランプ政権第1期の2018年11月5日、米国はIRISLを含むイランの海運業に対する制裁の全面的な再発動を宣言。2019年12月12日にはIRISLへのさらに厳しい追加制裁を発表し、180日間の猶予期間を設けた。2020年6月8日、米財務省はIRISLおよびその中国子会社であるイーハン・シップマネジメントへの制裁が正式に発効したと発表した。

米政府はIRISLグループを「イランの核拡散・調達代理人が最も多く利用する海運会社」と認定しており、イランの弾道ミサイル計画に使用される物品の輸送も含まれるとしている。トゥスカもまた米国の制裁リストに記載されており、トランプ大統領第1期のイランへの最大圧力キャンペーンの一環として、航空機・団体・個人・船舶を合わせて700件超が制裁対象に指定された。

ロイターによると、2つの消息筋はIRISL傘下の船舶は革命防衛隊の支配下に置かれており、乗組員は通常イラン人が中心だが、パキスタン人船員が起用されることもあると補足した。

データ分析会社SynMaxの衛星解析によると、同船は3月25日に中国・太倉港付近に位置しており、3月29日から30日にかけて中国南部の高欄港に入港した。

高欄港は珠海の化学品積み出し港で、高塩素酸ナトリウムの取り扱いも行っている。高塩素酸ナトリウムはイランのミサイル計画が必要とする固体ロケット燃料の重要な前駆物質だ。今年初め以降、IRISL傘下の船舶が高欄港を発着する事例は十数件に上る。

SynMaxの分析ではさらに、同船は高欄港でコンテナを積み込んだ後、4月11日から12日にかけてマレーシアのポート・クラン付近に寄港し、追加のコンテナを搭載したとされている。

同船は4月20日にオマーン湾に到達した時点で、コンテナを満載した状態だった。

「トゥスカ」が運んでいたもの

アナリストらは、トゥスカが米海軍の厳しい封鎖突破を試みた事実は、船内の物資が優先度の高いものである可能性を示していると指摘する。

「封鎖突破を試みるとは、非常に無謀な行動のように見える……しかし同時に、船内にはイランが緊急に必要としている物資が積まれている可能性を示唆してもいる」と、海洋透明性推進団体「シーライト(SeaLight)」のレイ・パウエル所長はFOXニュースに語った。

パウエル氏はマレーシアを経由する航路にも注目している。シンガポール海峡付近の海域では執行力が相対的に弱く、追跡を困難にする「船対船の貨物積み替え」が頻繁に行われていると同氏は指摘した。

また中国への寄港は、積み荷の出所をめぐる疑問を呼んでいると付け加えた。

米国拠点のアドボカシー団体「イランの核計画に反対する連合(United Against Nuclear Iran)」の上級顧問で元米海軍将校のチャーリー・ブラウン氏も、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、トゥスカが米国の封鎖突破を試みた判断は、船がイランにとって価値のある物資を運んでいたことを示すと述べた。

「封鎖突破の試みは、リスクを冒す価値があると判断されたのは確かだ。だが彼らの選択は非常に稚拙だった」と同氏は語った。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ブラウン氏と同僚らは先月、トゥスカが米・イラン紛争下でも運航を続けるイラン船舶の一隻であることを指摘していた。これらの船舶はより大きな船団の一部を成しており、米国またはEUの制裁を回避しながらイランと外部世界との貿易を担っている。

この船団にはイラン産石油を中国へ輸送するタンカーも含まれる。トゥスカのような他の船舶は、多種多様な貨物を積むコンテナ船だ。

ブラウン氏によると、トゥスカは3月下旬に珠海港に寄港した。2月下旬にイランとの戦争が始まって以降、同氏は珠海の関連港湾に寄港した他のイラン船舶を9隻確認している。

トランプ大統領は4月20日、「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、トゥスカは現在米国の管理下にあると述べた。イランのこれまでの違法活動の記録を理由に、米国は同船に制裁を科しているとし、米軍が船内に積載された物品を検査中だと付け加えた。

米海軍は4月17日、イランへの海上封鎖の範囲を拡大し、禁制品とみなす貨物の種類も追加すると発表した。海軍は、イラン領域への侵入を試みるとみなされた船舶はすべて検査または捜索の対象になると表明した。

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