国際NGO「国境なき記者団(RSF)」は30日、第25回となる2026年度の「世界報道自由度ランキング」を発表した。日本の2026年度の順位は62位で、5段階評価の中央にあたる「問題がある」に分類された。
ランキングは180の国・地域を対象に、ジャーナリストへの侵害事件の統計や専門家へのアンケート調査を基に、100点満点で評価するものだ。今年度の調査では、世界の過半数の国で報道の自由度が「困難」または「極めて深刻」な状況に分類された。
RSFは日本について、議会制民主主義国としてメディアの自由や多元主義の原則は概ね尊重されているとした。一方で、伝統やビジネスの利益、政治的圧力、ジェンダー不平等などが、ジャーナリストが監視役としての役割を十分に果たすことを妨げていると指摘した。政治的な要因としては、政治的圧力と記者クラブ制度などが挙げられている。
主な要因として挙げられたのが、政治的圧力と記者クラブ制度である。RSFによると、2012年以降、ジャーナリストから報道に対する不信感や敵意が報告されている。また、記者クラブ制度が情報へのアクセスを独占し、フリーランスや代替メディア、外国人記者の参加を制限しているとした。その結果、メディア内の階層化や自己検閲を助長していると指摘している。
法的制約も課題とされた。RSFは、土地利用規制法の曖昧な規定により、防衛施設や原子力発電所といった公共の関心が高い583の区域での取材が制限されていると指摘した。違反者には最長2年の懲役が科される恐れがあるという。さらに、特定秘密保護法についても、不法に得た情報の公開に対して最長10年の懲役を定めており、ジャーナリストへの脅威となっているとした。
政府や企業からの圧力が日常的に存在していることも問題視された。RSFは、汚職やセクハラ、健康問題、公害といった敏感なトピックにおいて、深刻な自己検閲が行われていると指摘している。
物理的な取材環境は比較的安全である一方、SNS上での誹謗中傷も課題として挙げられた。能登半島地震への対応の遅れへの批判や、福島第一原発の処理水に関する報道を行った場合、SNS上で国家主義的なグループから日常的に嫌がらせを受ける事態が発生しているという。
東アジア・太平洋地域では、台湾がアジア最高位となる28位で「満足できる」を維持した。ただ、前年からは4つ順位を下げた。韓国は47位で「問題がある」とされた。中国は178位で「極めて深刻」な状態とされ、世界最多となる121人のメディア従事者を拘束している。北朝鮮も179位と極めて低い水準となった。
フィリピンは114位だった。同国では、政府の敏感な問題を探るジャーナリストを「テロリスト」扱いする「レッドタギング」が、言論弾圧の主な手段となっている。
米国は政治的圧力の増大などにより順位を7つ落とし、64位となった。欧州では、ノルウェーが1位となった。戦時下にあるウクライナは、困難な状況にもかかわらず7ランク順位を上げ、55位へと改善した。
中東・北アフリカ地域は、19か国中18か国が「困難」または「極めて深刻」に分類される最も壊滅的な地域となった。特にガザ紛争では、多数のパレスチナ人ジャーナリストが犠牲になっている。一方、アサド独裁政権が崩壊したシリアは、前年の177位から141位へと歴史的な改善を見せた。
ランキング最下位の180位はアフリカのエリトリアだった。同国は、裁判なしでジャーナリストを世界で最も長期間拘束している国とされている。
世界各地で政治的圧力の強化やメディア環境の悪化が進む中、市民が情報にアクセスする権利を守るための取り組みが、これまで以上に求められている。
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