インド太平洋地域における中共の膨張する軍事的野心に対抗するため、米国は長年にわたりアジア太平洋の同盟国に対して協力の強化・拡大を求めてきたが、今年ついにその成果が結実した。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、米国とフィリピンが実施する「バリカタン(肩を並べて)」合同軍事演習は約2週間半にわたって行われ、7か国から計1万7千人の兵士が参加した。日本の陸上自衛隊は1400人を派遣して初めて参加し、カナダとニュージーランドも新規参加国として加わった。米国は約1万人、フランスも少数の兵士を派遣した。
米国とアジア太平洋同盟国の合同軍事演習に中共が反発
今回の上陸阻止演習では、火砲・迫撃砲・軽装甲車・攻撃型無人機が投入された。海上には煙幕が立ち込め、機関銃の射撃音が鳴り響いた。米陸軍のジェームズ・バーソロミュー少将は、今回の演習は圧倒的な火力を誇示する印象的なものだったと評した。
近年、中共とフィリピン軍は南シナ海で衝突を繰り返しており、同海域における中共の主権主張はフィリピンをはじめとする周辺国の主張と重複している。中共はまた台湾への武力攻撃についても繰り返し威嚇を行っている。
演習の計画担当者は、今回の演習は特定の国を標的としたものではないと述べた。ただし演習で運用されたミサイル・無人機・対無人機システムおよび戦略的島嶼は、いかなる対中共紛争においても決定的な役割を果たすものだ。フィリピンと日本の両軍は、フィリピン最大の島であり台湾有事の際の重要な集結地となるルソン島北部で防空演習を実施した。
中共の脅威に対応するため、トランプ政権は世界各地の同盟国に対して自国防衛の負担増加を求める圧力を強めている。先月、ヘグセス国防長官は議会への書面証言で、日本とオーストラリアが防衛費増額の必要性を理解していると称え、韓国を「模範的な同盟国」と評価した。
これに対し中共は激しく反発し、こうした多国間演習を根拠のない挑発行為であり、外部勢力の介入が分裂と対立を招くものだと非難した。中共系メディアの環球時報によると、中共軍は最近フィリピン近海で実弾演習と巡視活動を実施したという。
アジア太平洋同盟国の共通認識 台湾有事は皆の有事
ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国が台湾を中共の潜在的な攻撃や封鎖から守るためには、フィリピンと日本の軍事基地・インフラ・領土の利用が不可欠であり、オーストラリアの施設も後方からの兵站支援に活用できると指摘した。
一方、米国のアジア太平洋同盟国は、台湾や南シナ海で紛争が発生した場合、いかなる国も無縁ではいられないとの認識を強めている。中東戦争とホルムズ海峡封鎖がもたらした経済的混乱は、国際海上交通路が世界貿易にとっていかに重要であるか、そして同盟国が協力して航行の自由を守ることがすべての国の利益につながることを改めて示した。
報道によると、高市早苗首相は昨年、中共が台湾に侵攻した場合、日本は他国と連携して軍を展開する可能性があると警告した。フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は、台湾にはフィリピン人労働者が10万人以上おり、フィリピンも紛争に巻き込まれることは避けられないとの見方を示した。
バイデン政権で南アジア・東南アジア担当の国防副次官補を務めたリンジー・フォード氏は、米国が現在中東に軍事力を投入していることを踏まえると、日本の参加は時宜を得たものだと述べた。米国はフィリピン・オーストラリア・日本という3つの主要なアジア太平洋同盟国と定期的に合同演習を行い、現実の高度な軍事シナリオに焦点を当てるべきだと強調した。
懸念から安堵へ転じる同盟国
近年、米国がアジア太平洋地域から中東へ一部の軍事力を移転したことや、トランプ政権が西半球への関与を重視する方向に転換したことを受け、一部のアジア太平洋同盟国は不安を抱くようになっていた。
大西洋評議会インド太平洋安全保障イニシアティブのマーカス・ガルラウスカス所長は、特にイランとの紛争において米軍が「過剰に拡張している」との懸念が同盟国の間にあるとしつつも、同盟国がそれぞれ自国の軍事力を強化し相互協力を深めることで、抑止力・安定・米国の利益を高めることができると述べた。
フィリピンの多くの当局者は、米国が米比相互防衛条約の義務を果たすと確信していると表明した。米海兵隊のクリスチャン・ウォートマン中将は「バリカタン」演習の開幕式で、フィリピンに配備された米国製「タイフォン(Typhon)」陸上発射型ミサイルシステムが今回の演習に参加すると述べた。同システムはフィリピン国内から中国の主要目標を射程内に収めることができる。
ニュージーランド陸軍のウィル・ハチンソン大尉は、ニュージーランドも防衛費を増加させており、小国ながら他国に戦力を展開し他国軍と連携できることは自国にとって大きな意義があると述べた。
演習終了後、フィリピンのウィリー・マナラン准将は、今回の演習はできる限り実戦に近い内容を追求したものであり、同時にフィリピンに多くの友好国がいることを示すものでもあったと語った。
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