大阪万博EVバス事業が巨額損失 不具合相次ぎ190台の活用断念

2026/05/15
更新: 2026/05/15

大阪・関西万博の輸送手段として導入された大阪メトロの電気バス(EVバス)事業が、約67億円という巨額の損失を生む事態に発展した。車両トラブルが相次ぎ、安全確保の見通しが立たないことから、万博後に予定していた路線バスや自動運転バスの実証実験への転用を断念し、車両は「無価値」と判断されたためである。産経新聞などが報じた。

大阪メトロは14日、2026年3月期連結決算で、万博で使用したEVモーターズ・ジャパン(北九州市、以下EVモーターズ)製EVバスを巡り、総額67億円の特別損失を計上したと明らかにした。

EVバスは大阪メトロがEV社から190台を購入し、そのうち150台を万博会場へのアクセス輸送などに使用していた。万博閉幕後には、通常の路線バスや自動運転バスの実証実験に活用する構想だったが、運行中にハンドル操作と車両挙動が一致しないなどのトラブルによる事故が相次ぎ、安全性への懸念が解消されなかったことから、全車両の転用を断念する判断に至った。

大阪メトロは、こうした状況を踏まえ、EVバス190台については今後事業で使用する見込みがない「遊休資産」と位置づけ、帳簿上の資産価値をゼロ近くまで落とす減損処理を実施した。

EVバスは現在、大阪市城東区の大阪メトロの敷地に多数が保管されている。大阪メトロの河井英明社長は14日の記者会見で「じくじたる思いではあるが、車両を継続して使用することを経営判断として断念した」と述べ、6月末までに車両を別の場所へ移動する考えを示した。ただし、具体的な移動先や今後の車両の処遇については検討中としている。

一連のトラブルの背景には、EV社側の経営問題もある。EVモーターズ・ジャパンは既に民事再生手続きに入っており、大阪メトロは同社に対して違約金などの費用負担を求める方針を示しているものの、河井社長は「民事再生手続きに入っており、適切に対応していきたい」と述べるにとどまり、実際にどこまで回収できるかは不透明だ。

読売新聞によると、大阪メトロが大阪・関西万博向けに導入したEVバスは、購入費約75億円のうち40億円超を国と大阪府・大阪市の補助金で賄っており、巨額の税金が投入されていた。しかし、不具合多発で路線バスへの転用ができなくなり、補助金の返還も含めて「税金の無駄遣い」との批判が強まっていた。

またマネーポストによると、車両を供給したEVモーターズ・ジャパンは「国産EVバス」「日本製」を謳って販売してきたが、実際には中国メーカーが製造したバスを輸入したものであり、国産を装った中国製EVだったことが、元社員の証言や国交省の調査で明らかになっている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます