台湾国民党主席の訪米 ホワイトハウスが会談を急遽中止か

2026/06/12
更新: 2026/06/12

台湾メディアの報道によると、アメリカ東部時間の6月10日、国民党の鄭麗文主席が予定していた、ホワイトハウスでのアメリカ国家安全保障会議高官との会談が、明確な理由が告げられないまま直前で中止になったことがわかった。

「自由時報」は訪米団メンバーの話として、鄭氏一行は10日午後にホワイトハウスを訪れる予定だったが、アメリカ側から理由の通知がないままキャンセルになり、鄭氏がホワイトハウスに姿を現すことはなかったと伝えている。

ワシントンの外交筋によれば、この会談は事前にアメリカ側が事実上「格下げ」していたという。会談場所がホワイトハウスから米国在台協会(AIT)ワシントン本部に変更したのみならず、対応する高官の格も、今年3月に訪米した台中市の盧秀燕市長への対応に比べ大幅に低く設定していた。しかし最終的に、この妥協案としての予定すらもアメリカ側によって完全に白紙撤回された。

台湾の要人がワシントンを訪問する際、アメリカ側は台米関係や地域の安全保障環境への理解を深めるため、通常、ホワイトハウスでNSC高官との会談を設ける。

報道は、鄭氏が訪米中にアメリカの対台武器売却や台米関係を批判し、第一列島線における安全保障協力を「冷戦思考」などと表現したことが米政界や軍部の反発を招いたと指摘。これにより、複数の米連邦議員も相次いで鄭氏との会談を取りやめた。

同報道が引用したワシントン特派員の証言によると、対台武器売却に関する特別条例は台米双方が協議を重ねた結果であるにもかかわらず、鄭氏がこれを「(政府への)白紙委任にすぎない」と不当に非難し、民進党政権の汚職を告発したことが、米安全保障当局や軍関係者の強い不信感につながったという。

また、鄭氏が今回の訪米で中台平和を強調する一方、中国共産党(中共)の軍事拡張路線には一切触れなかったことも米メディアで物議を醸している。ウォール・ストリート・ジャーナルは、鄭氏が「中共当局の主張をそのまま抱えて」訪米したと論評。Foxニュースのコメンテーターにいたっては「鄭氏は北京側の人間だ」と痛烈に批判した。

ニューヨークのアジア・ソサエティでの公開討論会では、「共産党に寄り添えば、台湾は香港の二の舞になる」と書かれたTシャツを着た中国本土出身の男性から、親中派としての立場を激しく追及される一幕もあった。男性は「なぜ習近平は台湾への武力侵攻を準備しているのか。本土出身の私にはよくわかる。中国が独裁社会で、習近平が独裁者だからだ。彼が台湾侵攻を行うのは、台湾が民主主義社会で、中国が独裁政権だからだ」と問い詰めた。

なお、今年4月に鄭氏が北京で中共の習近平党首と会談した際、鄭氏の発言開始からまもなく、現場で生中継を行っていた記者団が全員会場から退去させられた。これによって、中国における報道や言論の自由に対する懸念が改めて浮き彫りとなっている。