米中ハイテク競争に傾く習近平 中国経済は旧ソ連の道をたどるのか

2026/06/23
更新: 2026/06/23

英メディアは、中国共産党(中共)の習近平党首が国内経済の苦境を顧みず、アメリカとのハイテク競争に執着していると指摘。ドイツメディアは「ロボット産業が習近平を追い詰めているのか」と報じた。一部の中国語圏の独立系メディアは、中共がソ連崩壊と同じ道をたどりつつあるとの見方を示している。

6月21日、ドイチェ・ヴェレは「ロボット産業が習近平を追い詰めているのか」と題し、英誌「エコノミスト」の記事を抜粋して紹介した。

同記事の原題は「中国にはイノベーションがあるが、経済は深刻な不振に陥っている どちらがより重要か」。記事は、習近平の経済政策について、新たな成長モデルが、不動産に依存してきた旧来型モデルの崩壊よりも早く軌道に乗ることを前提にしていると指摘した。そのうえで、これは極めてリスクの高い賭けだと評している。

記事は、中共中央レベルの高級顧問の分析として、アメリカとの技術競争は、中共指導部を縛る「呪い」のようになっていると紹介した。この競争は中共の意思決定層の優先順位をゆがめ、先端技術に大量の、あるいは過剰な資源を集中させる一方で、中国経済が抱える構造的な問題への対応を不十分なものにしているという。

記事によれば、習近平の産業政策は激しい競争を助長し、企業や地域の間で消耗戦ともいえる状況を生んでいる。こうした極端な競争圧力は価格を押し下げ、企業の利益を圧迫している。赤字に陥った工業企業の割合は4月に約32%と過去最高水準に達し、1998年のアジア金融危機時のピークを上回った。企業債務も高止まりし、なお増加を続けている。

記事はさらに、中国ではロボットの数が急速に増えているかもしれないが、内需は依然として弱いと指摘した。中国の消費者心理を回復させるには、先端技術分野で一部の成果を示すだけでは到底不十分だとしている。

一部の中国語圏の独立系メディアは、この論評について、中共が自国の経済危機を顧みず、アメリカとの科学技術競争に大きく賭けていると解釈している。そして、その行方は、かつてソ連が米ソの宇宙競争の中で崩壊へ向かった道と重なると見ている。

時事評論家の文昭氏は、番組「文昭談古論今」の中で、米ソ冷戦末期の1980年代に、米レーガン政権が「スター・ウォーズ計画」を打ち出したことに触れた。この計画は、地上から宇宙空間に至る多層的なミサイル防衛システムの構築を目指すものだった。

文昭氏によれば、ソ連は、長年かけて築いてきた「核の恐怖による均衡」が崩れ、アメリカと肩を並べる超大国としての地位を失うことを恐れた。そのため、国内経済が困難に直面していたにもかかわらず、巨額の資金を投じて宇宙競争に加わった。結果として国力を空費し、財政と民生をさらに困窮させ、ソ連崩壊を早めることになったという。

文昭氏は、1980年代のソ連はすでに勢いを失いつつあったものの、アメリカとの宇宙・軍事競争に乗らなければ、もう数年は持ちこたえられたかもしれないと分析している。しかし実際には、米ソの宇宙競争がソ連を押しつぶす最後の一撃となり、結果としてソ連は自ら崩壊を早めることになったと述べた。

現在、アメリカ政府と中共は、宇宙、軍事、半導体、AIなど、複数の分野でハイテク競争を繰り広げている。トランプ政権も、宇宙を含むミサイル防衛システムの構築を目指す「ゴールデン・ドーム計画」を始動した。中共も近年、半導体、EV、AI分野に大量の資源を投入し、アメリカとの覇権争いを進めようとしている。