台湾・香港 映像だけの抗議も許されなかった

逆再生で描いた「後退する香港」 中国で共感広がり投稿者が処分

2026/06/27
更新: 2026/06/27

香港の街並みを逆再生し、人や車が後退して見える動画が、中国版TikTok「抖音」で大きな話題となった。

動画を投稿したのは、広東省潮汕出身の24歳の男性ブロガー。香港の街並みを逆再生することで、「香港は後退している」とのメッセージを言葉を使わず表現した。

動画は多くの共感を集めたが、公開後まもなく、投稿者の抖音アカウントは新たな作品を投稿できない状態となり、事実上の投稿禁止処分を受けた。

その後、動画はXなど海外SNSでも拡散され、「香港だけでなく中国全体が後退している」「こういう若者がいる限り中国にはまだ希望がある」など、政権への批判や投稿者を応援する声が相次いだ。

なぜ、この動画はこれほど多くの人の共感を呼んだのか。

香港は1997年に中国へ返還された後も、「一国二制度」の下で、中国本土とは異なる自由が認められてきた。政府を批判するデモや集会、新聞や出版社による自由な報道・出版、独立した司法制度などが維持され、「自由な香港」は国際都市として発展を続けてきた。

しかし、2019年の大規模な民主化デモを境に状況は一変する。デモは警察によって鎮圧され、多くの若者や民主派関係者が逮捕された。翌2020年には香港国家安全維持法が施行され、「国家安全」を理由に民主派議員や活動家、ジャーナリストらへの取り締まりが強化された。

その後は、民主派メディアの閉鎖や独立系書店への摘発が相次ぎ、選挙制度も見直されて民主派が立候補しにくくなった。政府への批判や抗議活動は厳しく制限され、中国が約束した「一国二制度」は事実上崩れたとの見方が国際社会で広がっている。かつて「自由な香港」と呼ばれた街は、中国本土と変わらない統制社会へと姿を変えた。

かつて「中国本土とは違う自由な街」と呼ばれた香港は、今では本土と変わらない統制社会へ近づきつつある。だからこそ、人も車も後退していく逆再生の映像を見た多くの人が、「これが今の香港だ」と共感したのである。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!