日本で開発された農作物の優良品種の海外流出を防ぐための改正種苗法が17日、参議院本会議で可決、成立した。海外で人気の高い国産果物などの権利保護を強化し、日本の農産物ブランドと利益を守る狙いだ。
日本の農産物の種や苗が海外へ持ち出されることによる損失は深刻化している。高級ブドウ「シャインマスカット」の海外流出による損失は、年間200億円弱に上ると試算されている。
農林水産省が2025年に実施した調査では、イチゴやかんきつ類、ブドウなど、日本で開発された約50品種が中国や韓国へ流出した可能性があるとされた。直近では、愛媛県が開発した高級かんきつ「紅プリンセス」の苗木が海外へ流出した疑いも判明しており、対策が急務となっていた。
今回の法改正では、新品種の登録出願が公表された段階から、無断輸出の差し止めを請求できるようにする。
新品種を国に登録すると、種苗の生産や販売、輸出入を独占できる知的財産権の一種「育成者権」が認められる。しかし、出願から審査完了までには3~6年を要し、従来は育成者権を取得するまで輸出を止めることができなかった。このため、審査期間中の海外流出が課題となっていた。
改正法の成立により、育成者権の取得前であっても、登録出願の公表後は無断輸出の差し止め請求が可能となる。
育成者権の存続期間も従来より10年間延長する。果樹は40年、その他の植物は35年となり、7月中にも施行される予定である。
無断流出などの権利侵害を受けた際の損害賠償額も引き上げる。事前にライセンス契約を結んでいた場合に支払われる許諾相当額よりも、高い賠償額を設定できるようにする。12月1日の施行が見込まれている。
同日の参議院本会議では、高温耐性などの特徴を持つ新品種の育成を後押しする「気候変動等対応品種法」も可決、成立した。
企業や大学、都道府県などが作成した開発計画を農林水産大臣が認定した場合、農業・食品産業技術総合研究機構の研究施設を利用できるようにする。計画に基づいて開発された品種を登録する際の出願料も、全額免除される見通しである。年内にも施行される予定だ。
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