【分析】世界のエネルギー供給が脅威に直面 原油高は脆弱

2026/07/27
更新: 2026/07/27

中東での衝突とロシア・ウクライナ戦争が継続的に激化しており、世界のエネルギー供給の要衝であるペルシャ湾のホルムズ海峡、紅海のバブ・エル・マンデブ海峡、および黒海の航行が深刻な支障を来している。

世界の原油在庫が数年ぶりの低水準にある脆弱な局面において、世界経済は「エネルギーの喉元を締められる」厳しい試練に直面している。ただし同時に、これについて楽観的な分析を示す専門家もいる。

三航路の航行が阻害 エネルギー供給が脅威に

『ウォール・ストリート・ジャーナル』や複数メディアの報道によると、中東での衝突が近年拡大する中、イラン関連の行動によりホルムズ海峡の航行が阻害されている。同海峡はもともと世界の海上石油貿易量の4分の1を担い、世界の液化天然ガス(LNG)輸出量の約5分の1もこの水路を経由している。

サウジアラビアなどが原油輸出を紅海経由に切り替えた後、イランの支援を受けるフーシ派は7月20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を発表した。

紅海はアフリカ北東部とアラビア半島の間に位置し、全長1400マイルに及ぶ、世界の海運における最重要の動脈の一つである。毎年、世界の海上貿易の約12%から15%(金額にして1兆ドルを超える)がこの水路を経由しており、同水路は北はスエズ運河、南はバブ・エル・マンデブ海峡に至る。

一方、黒海地域ではロシア・ウクライナ紛争の激化により、ノヴォロシースク港付近の海域が不安定化し、ロシアの石油輸出の約3分の1を扱うパイプラインの稼働が停止した。カザフスタンも黒海への原油輸送の停止を発表した。ロシアの原油処理量は20年余りぶりの低水準まで低下し、軽油の輸出も大幅に縮小している。

原油価格は史上最高値には遠く及ばず 専門家「供給はある、上昇は脆弱」

報道によると、主要経済国の石油備蓄は歴史的低水準にある。米国の原油在庫はレーガン政権中期以来の最低水準まで落ち込み、経済協力開発機構(OECD)加盟国の5月時点の備蓄は1990年以来の最低水準まで低下、6月は5月比でさらに4400万バレル減少した。

7月24日から26日時点で、米国産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は1バレル約89~90ドル、ブレント原油先物は約98~100ドルとなっているが、2008年7月に記録した史上最高値には遠く及ばない。当時、WTI原油は同時期に1バレル147.27ドル、ブレント原油も約147.50ドルに達していた。

石油製品市場は原油以上に逼迫している。欧州では軽油の約5分の1、航空燃料の約半分が中東から供給されているが、石油製品にはホルムズ海峡以外の代替輸送路がない。船舶が喜望峰迂回を強いられた場合、アジアまでの航程は10日から15日延び、輸送コストの上昇につながる。

業界関係者の分析によれば、運賃の上昇と供給の遅延は世界的なインフレを押し上げる可能性があり、特に欧州とアジアへの影響がより顕著になるとみられる。

台湾の著名なマクロ経済学者で政治・経済のベテラン評論家である呉嘉隆氏は、動画配信サイト「乾淨世界」の週末番組で分析し、世界の原油価格の上昇は脆弱であり、戦争がわずかでも緩和すれば価格は直ちに下落すると述べた。その理由は供給があるためだという。アラブ首長国連邦(UAE)は今年OPECを脱退した後、生産能力をフル稼働させ、日量350万バレルから日量480万~500万バレルまで増加させた。米国の生産能力は日量2500万バレル、需要量は日量2千万バレルだという。

同氏は、トランプ大統領が就任直後からイラン問題に備え、伝統的な化石燃料・エネルギー分野における米国の主導的地位を強力に推進してきたと述べた。

「(トランプ氏は)供給側の準備を十分に整えたうえで、1年後に動いた。だから原油価格は上昇するように見えても、その上昇は非常に脆弱であり、停戦のニュースが出るや否や、(原油価格は)すぐに急落する」と述べた。

責任編集:鄭浩宇#

李皓月