ベッセント米財務長官は8月4日、急速に進む円安・ドル高に歯止めをかけ、アジア市場の安定を図るため、日本政府による通貨安定策を全面的に支援する方針を表明した。
約40年ぶりとなる円買い・ドル売りの協調介入
日米両政府はこれに先立つ7月31日、外国為替市場で、約40年ぶりの水準まで進行した円安・ドル高に歯止めをかけるため協調介入を実施した。ベッセント氏はCNBCのインタビューで、円相場の急激な下落が周辺国に及ぼす影響に懸念を示し、「円の安定は米国にとって重要なだけでなく、地域全体にとっても非常に重要だ」と強調した。
ベッセント氏は米CNBCの番組「スクワーク・ボックス」に出演し、貿易の流れや日本経済の規模、世界の貯蓄市場への貢献度を踏まえ、円相場の安定が極めて重要であるとの認識を示した。
円が急激に下落すれば、他国が輸出競争力を維持するため、競争的な通貨切り下げに動く可能性がある。ベッセント氏は、韓国ウォンの変動性や、中国人民元が過小評価されているとの懸念を具体例として挙げた。
円安の長期化は、日本国内のインフレを加速させるだけでなく、他のアジア通貨にも下落圧力を及ぼし、世界の金融市場を不安定化させる恐れがある。こうした米政府の懸念が、他国通貨を支援する異例の協調介入を後押しした形である。
米国は準備金のユーロを売却
日米両政府による協調介入では、米財務省が保有する準備金からユーロを売却し、その資金で円を購入した。
ロイター通信によると、ベッセント氏は、欧州の中央銀行を含む関係当局と緊密に連絡を取り、今回の取引について「単なる準備金の再配分にすぎない」と説明したことを明らかにしている。米国によるユーロ売却が欧州通貨への圧力と受け取られないよう、事前に欧州側の懸念払拭を図ったとみられる。
またベッセント氏は、日本政府が円相場を支えるために米連邦準備制度理事会(FRB)の「外国・国際通貨当局(FIMA)向けレポ・ファシリティ」を活用することを歓迎すると言及した。同制度を利用すれば日銀は最大600億ドルを借り入れることが可能となる。
日本政府がさらなる制度枠の拡大を望んでいることについて、ベッセント氏は、FIMAが創設された2020年当時と比べ、現在は債券市場の規模が大幅に拡大していると指摘し、「FRBが制度枠の拡大を検討するのは妥当だ」と述べた。
利上げの必要性には触れず
CNBCによると、日銀による追加利上げの必要性についてベッセント氏は、「利上げすべきかどうかを予断するつもりはない」と明言を避け、植田日銀総裁が必要な対応をとることを信じており、介入後のフォローアップ政策についても日本政府を強く信頼していると述べるにとどまった。
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