人形を使って自分自身を呪い、「明日にでも交通事故に遭う」と口にする。観音像をハンマーで壊し、神像を罵倒して「どれだけ生きられるか見てろ」と挑発する。
そんな「迷信への挑戦」をテーマにした発信で人気を集めてきた中国の女性インフルエンサーが、その後、本当に交通事故に遭い、亡くなった。
亡くなったのは「姜小柔」の名前で活動していた李秀婷さん(24歳)。中国版TikTok「抖音(Douyin)」で約128万人のフォロワーを抱え、心霊現象や民間のタブーをあえて試す動画で注目を集めていた。
深夜、一人で廃墟や廃病院に入る。死装束を着て一晩を過ごす。「筆仙」と呼ばれる、「こっくりさん」に似た降霊遊びを試す。自分の生年月日などを書いた紙を、棺に使う釘で野外の木に打ちつけたこともあったという。
中でも批判を浴びたのが、観音像をハンマーで壊す動画だった。神像を罵倒し、「私があとどれだけ生きられるか見てろよ」と挑発。過去には人形を使って自分を呪い、「明日にでも交通事故に遭う」といった趣旨の言葉も口にしていた。
7月15日未明、姜さんは広州へ向かう途中、大きな交通事故に遭った。
全身に重傷を負い、脳にも深刻な損傷があった。集中治療室(ICU)で約1カ月にわたり治療を受けたが、助からなかった。
さらに人々をざわつかせたのが、7月9日の最後の動画だ。交通事故で亡くなった女性の電話番号にかける「心霊企画」で、聞こえてきたのは自分の声の反響だったという。
姜さんの死後、中国のSNSでは「姜小柔 避讖」がトレンド入りした。「避讖(ビーチェン)」とは、不吉な言動を避け、それが現実にならないようにするという考え方で、とくに死にまつわる言葉をむやみに口にしないことを指す。
ネットでは「人はいつか、自分の無知の代償を払うことになる」「信じる、信じないは人それぞれ。でも、畏敬の心は持つべきだ」など、彼女の生前の言動を振り返る書き込みが相次いだ。
もちろん、こうした動画と事故に因果関係があったことを示すものはない。偶然と見る人もいれば、その重なりに何かを感じる人もいるだろう。
神仏を信じるかどうかも人それぞれだ。ただ、昔から人々が避けてきたことには、それなりの理由や知恵がある。土地や文化の中でタブーとされてきたことを、再生回数のためにあえて犯したり、面白半分に挑発したりする必要はないだろう。
彼女の死をきっかけに、人々はあらためて「畏敬」という感覚を思い起こした。信じるかどうかを超えて、自分の日頃の言動を振り返った人も少なくなかったようだ。
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