中国の元首相・朱鎔基が12日午前11時6分、北京市の医院で死去した。98歳だった。消息筋によると、朱鎔基は晩年、その言動を中国共産党当局から厳しく監視されていたという。中共当局は今後、朱鎔基への追悼を機に市民の不満が噴出し、広範な社会運動に発展する事態を警戒しているとみられる。
関係者「蔡奇が人員を配置し監視」
中共内部の事情に詳しい関係者は12日、大紀元時の取材に匿名で応じ、「朱鎔基の周囲には党中央弁公庁主任の蔡奇が手配した警備員や秘書、医師、看護師らが配置され、一挙一動が監視されていた。晩年の治療にも蔡の同意が必要だった」と語った。
関係者は元首相・李克強との違いについて、「朱鎔基は比較的『従順』だった。退任後は政治的な存在感を失い、98歳まで生きた。一方、李克強は『言うことを聞かなかった』ため、68歳で亡くなった」と述べた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは2022年3月、習近平が共産党の既定の後継制度を覆そうとする動きに対し、なお影響力を持つ引退幹部の一部が反対していたと報じた。その中に朱鎔基も含まれていたとしている。
2017年10月、中共大会の開幕式では、習近平が約3時間半に及ぶ政治報告を終えると、会場は総立ちとなって拍手した。一方、ひな壇にいた朱鎔基は拍手をしなかった。映像は中国内外で注目を集め、「習近平への批判の意思表示ではないか」との臆測も広がった。ただ、単なる偶然とみる向きもあった。
追悼を機に「社会情勢」拡大を警戒
前出の関係者によると、中共指導部が現在、最も警戒しているのは、市民が朱鎔基への追悼を利用して社会への不満を表明し、それが広範な世論の動きに発展することだという。
関係者は「中共は民間の自発的な活動を常に警戒している。活動の内容が当局の意向と一致するかどうかにかかわらず、自発的な動きが制御不能になることを恐れている」と説明した。
念頭にあるのは1989年の天安門事件につながった学生運動だ。関係者は、胡耀邦元総書記の死去を契機に学生運動が拡大し、共産党指導部内で対応をめぐる対立が深まった経緯を挙げ、「鄧小平は事態の拡大を警戒し、最終的に武力鎮圧を決断した」と指摘した。
その上で「大規模な世論の動きが生じれば、当局は必ず介入する。社会動員につながる可能性のある世論への統制を、中共が緩めたことはない」と述べた。
さらに、朱鎔基の死去を受け、当局はすでに関連する世論の動きを注視しているとし、「追悼活動が広がる兆候があれば、情報は速やかに最高指導部へ報告される可能性が高い」と語った。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。