中国共産党政府は日本政府を見せしめにすることで、アジアにおける米国のハブ・アンド・スポーク型同盟体制を崩そうとしている。
論評
昨年12月と今年6月、核兵器を搭載可能な中国とロシアの爆撃機編隊が日本の尖閣諸島付近を通過した後、それぞれ東京方面と沖縄方面へ針路を変えた。これは日本と、沖縄に大規模な軍事基地を置く米国の双方に対する、強硬な戦略的シグナルであった。
日本は、世界で唯一、一つではなく二つの都市で核爆発の被害を受けた国である。それは、世界でも数少ない平和主義的な日本国憲法と、東京が長年にわたって核軍備管理条約を支持してきたことの一因となった。
それにもかかわらず、中国共産党(中共)政府は連携国を率い、さらに世界を率いて、その宣伝担当者らが日本政府の「新軍国主義」と呼ぶものに対する新たな闘争を進めようとしている。共産主義に関する多くの事柄と同様、これはもちろん真実を逆転させたものである。
1990年代初頭以降、中共は中国の国防予算を指数関数的に増加させてきた一方、日本の防衛予算は約500億ドルで比較的安定していた。日本とその同盟国が、中共政権による脅威の増大を認識する中、日本の防衛予算が増加し始めたのは、つい最近のことである。
購買力を考慮して補正すると、2024年までに中国の国防予算は最大4710億ドルに達した。中国が核兵器を急速に増強する一方、日本は依然として非核兵器国である。ただし、中国との戦争をより十分に抑止したいのであれば、日本は核兵器国になる必要がある。
中共政府とロシア政府は、米国と同程度、あるいはそれ以上に日本と韓国を脅かしている北朝鮮軍を支援している。北朝鮮は、核兵器を搭載できる極超音速兵器を急速に開発している。この兵器は、沖縄やグアムを含む米国と日本のミサイル防衛網を突破する可能性がある。
その一部の見返りとして、北朝鮮は弾道ミサイルや砲弾を含む重要な軍需物資をロシアに提供している。核兵器を保有するこの3か国は、世界各地で威嚇的な行動を強めることにより、米国、欧州、日本を弱く見せると同時に、それらの防衛同盟を不安定化させようとしている。
同時に、中国共産党は、中国人の日本旅行を抑制し、水産物の輸入を禁止し、軍民両用物資の輸出を禁止することで、日本に経済的圧力を加えている。これには、中国のレアアース輸出に対する中共の規制も含まれており、日本の自動車、半導体、タービン、その他の工業製品の生産に極めて大きな圧力を及ぼしている。
中国は、精製されたレアアースの約90%を生産している。新たなレアアース精製施設と供給網を構築して中国に代わる供給源を確保するには、何年もかかる。これは日本の最も痛いところを突く制裁であり、中共政府は日本を見せしめにすることで、世界の他の国々にも気付かせようとしている。日本は台湾を支持したため、経済面と軍事面の双方で処罰されているのである。
中共政府は日本に圧力をかけ、それによって日本を米国の同盟体制から切り離し、台湾に対する経済的、軍事的支援を東京に撤回させようとしている。
日本は8月4日、最新の防衛白書を公表した。白書は、「中国と台湾の全体的な軍事バランスは、急速に中国側に傾いている」と指摘した。
これには、日本、台湾、フィリピンという地域における米国の主要な三つのパートナーを含む第1列島線を越え、さらに米領グアムに米国の戦略爆撃機基地が置かれている第2列島線を越えて軍事力を投射し、既成事実をつくり出す中共軍の能力が高まっていることも含まれる。
日本の報告書は、より強力な「総合的な国力」、より強固な同盟関係、そしてドローンや人工知能(AI)を活用した戦闘手段の生産を含む防衛産業基盤の強化が必要だと強調した。これに対し中共政府は、日本政府には台湾について論評する権利がないと主張し、抗議した。
中共政府の宣伝担当者らは、この報告書を「新軍国主義」と印象付けるために懸命に動いている。しかし、日本が自国を防衛する必要性を強めているのは、全面的に中共自身が招いたものである。
中共政府は数十年にわたり、台湾、日本の尖閣諸島、そして最近ではフィリピンのバタネス諸島を含め、中国の領有権主張の地理的範囲を拡大してきた。バタネス諸島に関する主張は、中国国営メディアによって示されたものである。
日本政府は、同じ民主主義国への支持を堅持している。高市早苗首相は昨年11月、中共政権が台湾を攻撃し、日本の存立を脅かした場合、日本は台湾防衛のために軍事力を展開する可能性があると述べた。高市氏は、中共から圧力を受けているにもかかわらず、これまでのところ発言の撤回を拒んでいる。
中共は日本を屈服させようとすることで、アジアにおける米国のハブ・アンド・スポーク型同盟体制の最も強力な「スポーク」の一つを壊そうとしている。全てのスポークを壊した後、中共政府が自らを中心に据えてスポークを組み直し、世界的覇権を目指す地域覇権国になろうとしていることは、疑いようがない。
その第一歩を踏み出すため、中共政府は日本政府を懲らしめて行動不能にし、台湾を奪取しなければならない。それが台湾の半導体生産や、インド太平洋諸国全般の民主主義と主権に及ぼすあらゆる影響も伴うことになる。
2018年のカナダや2020年のオーストラリアの場合と同様、中共が日本や台湾のような民主主義国を標的にした際の最善の戦略は、他の民主主義国が道義的、物質的支援を提供することである。
われわれは一体となって行動するとき、皆がより強くなる。中共が分断統治戦略を進めることを許せば、いずれわれわれの番が来る。

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