中国の通信機器大手ファーウェイの刑事裁判が8日、ニューヨーク・ブルックリンの連邦地裁で始まった。ファーウェイは組織犯罪、銀行詐欺、通信詐欺、営業秘密の窃取など12件の罪に問われている。約8年にわたる法廷闘争を経て、本格的な審理に入った。有罪となれば、数十億ドル規模の罰金や犯罪収益の没収を命じられる可能性がある。
陪審員の選定は8日に始まった。審理はニューヨーク東部地区連邦地裁のアン・ドネリー判事が担当し、約3か月続く見通しである。検察側は11月までに立証を終える予定で、弁護側はさらに約1か月を要するとみている。
ドネリー判事は陪審員候補者に対し、公平・中立に判断するよう求めた。また、現在続いているアメリカとイランの衝突が判断に影響してはならないと述べた。
ファーウェイはすべての罪状について無罪を主張し、不正行為を否定している。
検察「違法行為は1999年から」 イラン・北朝鮮事業も焦点
米司法省は2019年、トランプ政権1期目にファーウェイを刑事訴追し、その後、起訴内容を拡大した。
ファーウェイは当初14件の罪に問われていたが、公判前の書面によると、検察側は9月4日、制裁違反に関する2件を取り下げた。残る12件が今回の審理対象となる。
検察側は、ファーウェイが長年にわたり違法な手段で世界各地の事業を拡大したと主張している。アメリカのテクノロジー企業5社から営業秘密を盗んだほか、銀行詐欺、通信詐欺、マネーロンダリング、組織犯罪、司法妨害などに関与したとしている。一連の行為は1999年ごろから2020年まで続いたとされる。
起訴状では、ファーウェイのイランと北朝鮮での事業も取り上げている。
検察側は、ファーウェイが香港企業スカイコム(Skycom)を利用してイランで事業を展開し、アメリカの禁輸措置の対象となる商品や技術、サービスを取得したうえ、国際金融システムを通じて関連資金を移動させたと主張している。
また、ファーウェイはイラン事業をめぐり、スカイコムとの関係について虚偽の説明を行い、金融機関を欺いたとされる。これらの行為をめぐり、銀行詐欺、通信詐欺、マネーロンダリング、組織犯罪、司法妨害などの罪に問われている。
検察側はさらに、ファーウェイと一部子会社が北朝鮮との取引を隠していたほか、イランに監視設備を提供したと主張している。米側によると、この設備は2009年にテヘランで起きた反政府デモの際、抗議参加者の追跡に使われた。
孟晩舟の事実陳述 証拠として採用
今回の裁判では、ファーウェイ最高財務責任者(CFO)の孟晩舟をめぐる問題も再び焦点となっている。
米検察はかつて、孟晩舟がHSBC幹部にファーウェイとスカイコムの関係を説明した際、ファーウェイによるスカイコムの所有・支配関係について虚偽の説明をしたと主張した。
孟晩舟は2018年、アメリカの身柄引き渡し要請を受け、カナダ・バンクーバーで逮捕された。この事件は米中関係や中加関係を緊張させる要因となった。
2021年、孟晩舟は米検察と起訴猶予合意を結び、金融機関に対して行った一部の説明が事実と異なっていたことを認めた。米側はその後、身柄引き渡し請求を撤回し、孟晩舟は中国に帰国した。
ただし、この合意は孟晩舟個人の事件を処理したもので、ファーウェイに対する刑事訴追は継続した。
孟晩舟は今回の裁判の被告ではない。一方、ドネリー判事は今年6月、孟晩舟が2021年に署名した事実陳述について、ファーウェイに不利な証拠として使用できるとの判断を示した。
判事は、孟晩舟が当時ファーウェイのCFOとして陳述し、同社もその内容を受け入れたことを理由に挙げた。
検察側はさらに、中国にいるファーウェイ社員25人から証言を得ようとしており、この中には孟晩舟も含まれている。
ファーウェイは米側の主張を否定
ファーウェイは米政府の主張を否定し、「米側が描く事件全体の構図が誤っていることは明らかにできる」と反論している。
営業秘密をめぐる訴えについても、すでに処理された商業紛争を刑事事件として改めて持ち出したものだと主張している。
ファーウェイの広報担当は「知的財産権を最大限に尊重し、長期にわたりイノベーションへ投資してきたことが、ファーウェイの事業成長を支えてきた」と述べた。
ファーウェイは世界最大級の通信機器メーカーである。米政府は2019年、国家安全保障上の懸念を理由に同社を輸出規制対象の「エンティティー・リスト」に追加し、一部のアメリカ製先端技術へのアクセスを制限した。また、同盟国に対しても、通信網へのファーウェイ製品の採用を慎重に判断するよう求めてきた。
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