温家宝首相、フィジーを初訪問、中共・台湾外交合戦の一環

2006/04/07
更新: 2006/04/07

【大紀元日本4月7日】中国の温家宝首相は今月初め、フィジーを訪問した。 中国の首相が南太平洋の島国を訪れるのは初めて。報道によると、今回の訪問の目的は、中国と南太平洋諸国の関係を強化するためであるという。同地域には台湾と外交関係を確立している国家が集中しており、中台外交合戦の一環であると専門家はみている。

これまで、南太平洋地域に位置する13カ国のうち、7カ国が中共政権を合法政府として認め、そのほかの6カ国は台湾と外交関係を確立している。今回の温家宝首相による中国首脳陣の初訪問は、台湾寄りの国家に対して明確なメッセージとなった。

香港中文大学の鄭宇碩・教授は、「温家宝による南太平洋地域の訪問は、明らかに台湾を意識している。今後、中国首脳陣は台湾への外交圧力をさらに強め、台湾独立をめざす陳水扁政権に圧力をかけるだろう。台湾と政府往来を保持する中南米とアフリカにおいて、中共政権は同様の外交戦略を講じてきたからだ」との見解を示した。

温家宝首相は、フィジーで開かれた、第一回中国-南太平洋諸国経済協力フォーラムで、同地域の国家と経済貿易を強化する意向を強調した。南太平洋諸国は、人口が少なく、国土面積も小さいため、国際社会の経済支援が不可欠であり、そうした援助を求める交渉の場で、中共政権と台湾に挟まれ、余儀なく外交関係の二者択一の選択を迫られるのは必至であると思われる。豪州の専門家は、中共政権と台湾による同地域での外交合戦を「太平洋地区の冷戦」と名付け、同地域の政治的安定と経済発展にマイナスの影響を与えると警告した。

台湾淡江大学の「国際事務と戦略研究所」の林中斌・教授は、「中共政権と台湾は、同地域諸国から支持を得るため、多大な投資を行ってきた。その結果、これらの小さな国では、政治の腐敗を引き起こしている。しかし、投資は中共による外交戦略の一部に過ぎず、一方で中共は同地域への観光を促進し、大勢の中国人が同地域を訪れることによって、経済的効果をもたらしている。言わば、中国の人力を非軍事方式で、この地域に浸透させたといえる」と発言した。

南太平洋諸国は、中共政権が南半球で科学研究、戦略計画を推し進める上で地理的に重要だ。香港中文大学の鄭宇碩・教授は、「中共政権が全世界におけるナビゲートシステムを発展させ、新しいミサイル計画を進めるには、南太平洋地域の地理的条件は非常に重要である。同地域の国家と外交関係を確立することで、多くの観測基地を設立できる。未来の中国にとって、衛星戦略や宇宙科学技術の研究と開発に重要な影響を与えるには違いない」と述べた。

関連特集: