B型肝炎保菌者1・2億人、社会差別が深刻化=中国

2007/02/22
更新: 2007/02/22

【大紀元日本2月22日】中国の1億に上るB型肝炎保菌者の多くは、仕事および日常生活において社会から深刻な差別を受けている。専門家らは、B型肝炎は一時的接触によって感染するものではないにも拘らず、保菌者は中国では深刻な差別を受けていることは、B型肝炎に対する誤解からもたらされたと分析している。

*1億人以上が差別されている

2月13日のワシントン・ポストの報道によると、上海西地区沿海都市の呉江市の電子部品会社で勤務しているエンジニアリング廖さん(28)は、会社の健康診断でB型肝炎の保菌者であることが分かり、職を失ったという。廖さんは別の病院で再検査を行い、やはりB型肝炎保菌者であることは変わらなかったが、廖さんの肝臓およびDNAは共に正常であり、仕事には影響しないと医師の見解だった。しかし、会社側の決定は変わらなかった。実際、中国には少なくても人口の10%がB型肝炎保菌者であり、社会のいたるところで差別されているという。

専門家によると、中国労働法が制定されて既に13年が経ち、種族、性別、宗教信仰の差別を禁止すると定められているが、法規自体が曖昧過ぎていることから、遵守すらできないという。北京晨報が先月発表した10都市における3000人を対象に行った調査では、85%が仕事場での差別が存在していることを示した。

また、人々はB型肝炎に対する差別が深刻化した原因の一つは、B型肝炎の危険性が誇張されたからだという。B型肝炎は体液、輸血、精液、わずかな機会において唾液によって感染される。患者の90%は生まれながら感染しており、約10%が出生後に感染されて保菌者となった。専門家は、中国の病院では注射針を繰り返して使用していたため、70年~90年における結核病、破傷風および脳炎のワクチン注射を行った時に感染した人が多かったという。また、多くの保菌者自身は症状が現れないが、4分の1の保菌者は最終的に合併症を引き起こすという。

中国におけるB型肝炎保菌者に対する差別は現在、大学キャンパスおよび学術界まで広まった。B型肝炎保菌者の大学生によると、彼らは住居を隔離されるという。また、昨秋、新疆ウルムチ市の学校が、B型肝炎保菌者であることを理由に、19人の学生を退学させたという。これに対して、学生たちは学校側を訴えたが、学校側から生徒に対して同案件を公開することを禁止したという。また、米フィリップ社製品を製造する、本社はタイに置いてある呉江市の泰金宝グループ(Cal-Comp Electronics)はB型肝炎の保菌者である22人の職員を解雇したという。

米B型肝炎基金会は、アジア人および西洋人はB型肝炎に感染するルートは、共に血液を通じ、無防備な性生活、注射針の共用または母子感染であり、同様なリスクを負う。しかし、アジア人における最も多い感染とは、感染したのを気付かずに、新生児へ感染させたことであると指摘した。また、幼児は感染した家族と毎日接触していれば、同様に危険であるという。新生児および幼児の免疫システムは未成熟なため、慢性B型肝炎に感染する可能性がさらに高いという。

一方、日本では、厚生労働省によると、B型肝炎ウイルスの持続感染の状態にある人が100万人以上いると推定されている。約26年前にすでに、厚生省肝炎研究連絡協議会を発足させ、院内感染対策ガイドラインの作成や、ワクチンの開発・実用化を図るとともに、B型肝炎母子感染防止事業等を実施し、近年の診断・治療・予防等の研究が目覚しい進歩を遂げている現状であるという。厚労省は、平成16年に専門家の協力によって「B型肝炎について、一般的なQ&A」を作成し、広く国民へ適切な情報提供を行っている。

米B型肝炎基金会は、慢性B型肝炎は深刻な肝臓がんなどの肝臓病を引き起こす可能性があるため、早期発見の早期治療が有効なことから、定期的な健康診断は極めて重要であるとしている。また、保菌者は次々とほかの人に感染させる可能性があり、その影響は社会全体に及ぶと強調した。

(記者・華明)

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