内モンゴル:火力発電所による環境汚染、住民らが抗議

2007/06/30
更新: 2007/06/30

【大紀元日本6月30日】中国北方の内モンゴル自治区で、烏蘭察布(ウラーンチャブ・ホト)市の華寧火力発電所汚染問題が再浮上し、市民数百人が市政府に抗議した。ラジオ自由アジア(RFA)によると、25日午後、200~300人の市民が同自治区の烏蘭察布市庁舎前に集まり、現地の華寧火力発電所が環境を汚染しているため付近の住民が健康を害しているとして抗議の声をあげた。デモに参加した張さんは「朝から晩まで毎日煙が排出される上に騒音もなり続けているため、今までに200人以上の死者が出ている。市政府職員や環境保護局局長などは対応したが、調査の結果によりこの発電所を別の場所に移転するのかについては回答していない。また、市長は、今日派遣された調査員は別の移転場所はないと言っていたと話していた」と話している。

政府が提出したとされる移転計画書の内容は公開されず、また多くの住民たちは生活環境を変えるだけの費用を負担できずにいる。「この発電所はすでに完成しており移転させることはできない。現在、彼らは住民たちをほかへ移そうと考えているだけだ。また、市のほうでは既に決定した計画であると話しているので私たちはどうすることもできない。結局、力では到底勝ち目はない。それに私たちは反対しているのではなく、適切な措置を政府に要求しているだけだ。私たちは今の環境で生活できないことはない。問題は定収入がなく、今の環境では生活が苦しい人たちがいるということだ」。

華寧火力発電所は2004年に建設が始まり、2005年の夏には運転が開始。しかし付近の住民に深刻な騒音や大気汚染、さらには水源問題までもたらしているのが現状だ。この影響を受けているのは1000戸以上、数千人の綿毛工場の労働者たちである。他の住民の張さんも「生活のしようがない。騒音があり、さらに石炭の公害もある。煙突からは煙が排出され続けているし発電所が吸い取ってしまった為に周囲50kmの村庄は水がなくなってしまった。さらにボイラーから出ている煙と気体のために環境保護どころか、かえって問題が増えてしまっている。人々はどうすることも出来ず、反発がおきている。どこへ訴えればいいのか、誰も相手にしてくれない。政府が行ったことだから」と話した。

住民の訴えに対し関連部門は対処を引き伸ばす姿勢をとっている。つまり、汚染源である発電所は今も運転を続けている。既に市政府に対する抗議は二度行われており、今回政府の派遣した調査グループは住民に対しさらに詳しい内容を伝えたという。「今は調査して、状況に従って早急に問題を解決することが先決です。でも環境保護局局長は条文に従って対処すると話していました。なぜなら市で決定したものは必ずその規定に従って物事を進めなければならないからです。市民が何を言おうとも、それには踏まなければならない過程があり、現実的な緊急問題とはあまりにもかけ離れています」。

皮肉なことに、ネット上でこの華寧火力発電所を検索したところ、当地の政府やメディアは付近の住民には高汚染工場と呼ばれているこの発電所について、経済循環や低コスト低汚染、グリーン循環効果などと宣伝していた。

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