四川大地震:被災地ダム決壊恐れ、防疫も急務

2008/05/20
更新: 2008/05/20

【大紀元日本5月20日】中国四川省で5月12日に発生した大地震の死者数は19日、3万2千人以上に上った。現在も頻発する余震のほか、ダム決壊、伝染病の流行などの2次災害が懸念されている。

VOAによると、5月18日午前1時過ぎ、四川省被災地では再び震度6の強い地震が発生し、江油、青川、平武、綿陽、成都、徳陽等地区においても強い揺れを感じた。17日、胡錦濤中国総書記が被災地で被災者および救助隊に対して、スピーチをしている際にも余震が発生した。

*ダム決壊の場合、被害は地震同様甚大

大地震は被災地周辺にある1千のダムに異なる程度の毀損をもたらした。その内の391のダムは危険状態。地震による地すべりでできた13の「地震湖」が一旦決壊すると、地震と同等な被害をもたらすとみられる。

これに対して、当局は「地震湖」付近の100万人以上の住民を避難させた。避難した住民は「本当に心を痛めている。われわれには多くの親族が北川県より北部に残っている。そこには11の郷・鎮の人々が残されている」と心情を語った。

もう1人の住民は「危険だ。両側の山は未だに崩れ落ちているし、まだ収まっていないのだ。水も続けて増加している」と語った。

香港からの救助隊員は「ダム自体に亀裂が生じていて、ダムから水が溢れ始めている。水位は基本的にはダムと同じ高さになっている。しかし、今の問題は水が溢れることではなく、ダムの決壊にあるのだ」と懸念した。

中国国土資源部地質専門家の李鉄美鋒氏は「上流の『地震湖』の水位がこれ以上に高くなれば、ダムが決壊する可能性が高くなる。そうなると、止められない洪水の勢いで下流の人々に甚大な災害をもたらす」と警告した。すでに、120万人が緊急避難した。

*急がれる遺体の処理

暑い日が続いている中で、数万人の遺体に1千200万以上の家畜・家禽の死骸が加わり、5月14日、15日ごろから腐り始めている。特に死者が集中している被災地では死体から放った異臭が被災地に充満している。地元の政府衛生関係者は、腐乱した死体は川を汚染し、B型日本脳炎、マラリア、コレラ、A型肝炎およびチフスなどの伝染病の発生をもたらすのではないかと懸念している。

「華南早報」5月17日の報道によると、医者は伝染病発生による2次災害がさらなる死傷者をもたらすと警告したとし、被災地の死体から放った悪臭は犬も耐えられないほどだという。

AP社によると、解放軍および武装警察救助隊らは16日から、2メートルほどの穴を掘り、石灰を敷き、消毒された死体を埋める作業を行っているという。また、「蘋果日報」によると、什邡市洛水鎮では2千人が死亡し、5月16日に300人の死体を一斉埋葬したという。

温家宝首相は17日に北京の会議にて、死体の消毒および処理が目下の急務だと示し、ゴミ・糞尿の処理に関して、「重大伝染病発生日報制度」の実施を指示した。これに対して、多くの被災地は消毒剤の不足を訴えている。

*WHO:衛生的飲用水がもっとも重要

世界保健機関(WHO)は、被災者への衛生的な飲用水の供給は死体の処理より重要だと示した。WHOの声明によると、不衛生な食品および水に公共衛生環境の悪化が、伝染病を引き起こす本当の原因だと強調した。

地震のために何日も露宿する成都の作家・冉云飛さんは、救助は災害後の防疫活動を含むとした。冉さんは、「救助の内容は2種類あり、まずは、廃墟の中から人を救い出すことだ。救出された被災者を病院にて薬物治療する。そして、飲用水の汚染および被災地の疫病発生の予防だ。予防がなければ、救出された者も疫病によって死亡するから、救助において大きい意義を示す」と語った。

(翻訳/編集・余靜)
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